モダンガール論 (文春文庫 さ 36-2)
モダンガール論 (文春文庫 さ 36-2) / 感想・レビュー
Nobuko Hashimoto
いや~面白かった! 母校の学部同窓会からの依頼で、母校女子部の明治~戦後直後のことを少し調べていて、本書の存在を思い出す。7年も塩漬けだったが、まさに時機を得た感じで一気読み。明治以降の女性たちの「出世コース」を資料から丹念に読み解いているのだが、文体が軽妙なのでまったく退屈しない。背景にある階級(階層)の分断や貧困の問題もわかりやすく描き出している。こういう文章、本を書けるってすばらしい。指導教授による文庫解説もクスっと笑えて、最後にウルっとさせる。研究内容だけでなく文体も師の影響なのかな(笑)
2019/02/09
イノ
女性の立場から見たここ100年の近代史。 当時の手紙や雑誌や写真などから考え方や女性達の歩みや空気が見えてくる。 軽い文体もあって読みやすい。 戦前の流れと戦後の流れが同じだと言う指摘も面白い。 視点を変えるとこんなにも辛く華やかでたくましく移ろいのか! 面白かった!
2016/07/24
佐島楓
男性作家の近代文学が好きな私には、ここに書かれているような女性視点が欠けていたのだった。気づけてよかった。想像していた以上に戦前の女性誌は面白そうだ。歴史はゆるゆると繰り返しているようだということ、あと男性主導の社会構造はなんとかならんのかね。示唆に富んだ非常に意義深く面白い本だった。
2012/03/06
Yukiko
1920年代日本のモダンガールの着地点は軍国婦人だった。というくだりに、あぁ、そうだった!軍国主義は、当初は目の前の抑圧の解決のように見えて、雪崩を打って巻き込まれていったのだと思い出した。
2017/01/14
明智紫苑
明治以降の女性史。貧困層の「社会学的弱者女性」たちが取り上げられているが、知的障害者などの「生物学的弱者女性」はほぼ取り上げられていない。「良妻賢母」も「キャリアウーマン」も「女子大生」も、優生思想あってこそ成り立つ概念だろう。結局は「フェミニズム」というものが基本的に健常者の「強者女性」を基準にして成り立つものであり、平塚らいてうと与謝野晶子の「プロレス」を観戦する余裕なんぞ、障害者や貧困層などの「弱者女性」にはないのだ。
2024/03/20
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