さゆり 下 文春文庫 コ 16-2
さゆり 下 文春文庫 コ 16-2 / 感想・レビュー
NAO
日本独特の風俗でありながらその内情があまり書かれることがなかったのは、日本の作家がこういった世界を書いた場合、狭い世界であるがゆえに、「誰々先生が書いたということは、このモデルとなった芸妓は◯◯だ」というようにネタの出所が分かってしまうという縛りがあったからだろう。そういった縛りのない外人の方が、きちんとした紹介を得て話を聞くことさえ出来れば、日本人よりもはるかに書きやすかったのかもしれない。作者が「ニューヨーク・タイムズ」社の一族であることもこの作品を書くに当たって有効な切札となったのではないだろうか。
2024/09/13
紅香@本購入まであと9冊
置かれた場所で精一杯、流れ着いたのだな。。のしあがるって、そんなに立派なことなのかな。恋も含め、欲望に生きる私達の場所、なんだか淋しい。さゆりの締めくくりの言葉がすべてを物語る。『今にしてみれば、この世の中、たまたま海に浮いた波みたいなもの。どういう苦労をして、どんなに晴れがましいことがあって、どれだけ骨身にしみたところで、あれよあれよと取りまざって、紙にたらした薄墨のように滲むだけです。』
2016/05/22
たまきら
「日本の花柳界を知りたいけど、もう女の子にはパトロンがいて外国人は外部をなぞるだけで・・・」みたいな外国人によるエッセイを以前何かで読んだんですが、なんだかそのようなあこがれを強く感じる話でした。「こうだったらいいのに・・・」的な。女をこういうふうに描写するのもさらりとしていていいのかもなあ。でも、自分思うんです。女子はね、男がさらりと描けるものじゃないんじゃないかな、と。
2017/11/30
かおる
読み終わってしんみり。最後の言葉が好きです。「どういう苦労をして、どんなに晴れがましいことがあって、どれだけ骨身にしみたところで、あれよあれよと取りまざって、紙にたらした薄墨のように滲むだけです。」
2016/03/30
James Hayashi
米人が書いたフィクション。詳細までこだわり日本文化のエキゾチックさが伝わる。著者と訳者の両者ともかなり良い仕事をしたと感じた。
2021/05/18
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