最後の息子 (文春文庫 よ 19-1)
最後の息子 (文春文庫 よ 19-1) / 感想・レビュー
いつでも母さん
久しぶりの吉田さん。短編3作。吉田さんの紡ぐ世界はいつもちょっとしんどいので要注意だったのに・・どれも息子の話だが、好みはタイトル作。そうか、そういう意味の『最後の息子』だったのか。もやもや、イライラしながらラスト閻魔ちゃんの置手紙にスカッとした。私からも一言「いつまでも腹を減らしていたらいいさ!」
2018/03/30
おしゃべりメガネ
11年ぶりに再読。サラッとしたのを読みたくて何気に本棚を見ていたら目についた作品です。文学界新人賞受賞の表題作ももちろん良かったですが、改めて読み返して、他におさめられている短編2編がとても素晴らしかったコトに気づかせてもらえました。特に「water」は青春キラッキラな作品で、高校生水泳部の話ですが、まっすぐな彼らにココロが洗われるようでした。それでもやっぱり3編とも吉田修一さんらしく、どこかちょっとダークな感じがサラッと書かれていて、読み進めていてギュッと胸が少し苦しくなる感じも決して悪くはないかなと。
2020/08/29
酔拳
再読です。新聞の文芸コーナーで、吉田さんの作家原点として紹介されていました。記事にこの最後の息子を書いた当時の事を書かれてましたが、6畳アパートで電気ガス代の支払いも滞納しがちだったそうです。友達のところを泊まり歩いていた事もあったそうです。「最後の息子」は、ダンボールで作成した、食卓兼仕事机で、書いたそうです。そのような背景を知って読んだので、以前読んだ時よりも、引き込まれました。「最後の息子」は、オカマのひもとなっているやつが主人公だが、これは、吉田さんの当時の自分を投影したのかなとも、想像しました。
2018/07/13
hit4papa
タイトル作の他、『破片』、『Water』が収録された短編集です。三篇とも趣きが随分と違いますが、共通するのは、現実に目を背けている人が登場することでしょうか。何気ない日常の風景に、ネガティブなものを投じると、忘れがたい物語に変じるから不思議です。特に、家族の中にネガティブさを持ち込まれると、居心地の悪さゆえに、かえって引き込まれてしまいます。著者のデビュー作『最後の息子』はオカマと同棲しているモラトリアム男を描いているのですが、『春、バーニーズ』で後日譚を読むことができます。こちらは映画にもなりました。
2016/09/11
yoshida
吉田修一さんのデビュー作。かなり前に読了しているので再読。短編3篇。表題作はオカマバーの店長と同棲している青年の日常。青年は別れた彼女とも会ったりする。両性と付き合えることは不思議でもある。吉田修一さんの作品では同性が好きな人物が、ちょくちょく登場する。デビュー時からその傾向がある。「破片」は酒屋を継いだ青年の日常。思い詰めてしまう青年の行動が不穏さを出す。この不穏さが吉田修一さんの作品の特徴でもある。「water」は水泳部の高校生の話し。爽やかなの青春モノと思いきや、同級生男子の行動が不穏。楽しく読了。
2022/05/03
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