まとい大名 (文春文庫 や 29-10)
まとい大名 (文春文庫 や 29-10) / 感想・レビュー
コージー
一力さんの本を読むと、心のなかで襟を正し背筋がスッと伸びる自分を感じる。火消しのかしら銑太郎の真っ直ぐな生き方に、忘れてた大事なことを思い出させてもらった。
2017/10/27
シュラフ
"江戸(東京)の街の物語"であり、かつ"男の生き様を教えてくれる物語"でもある。初めての山本一力であるが、期待以上の良い作品であった。江戸時代の火消しを主人公にした話である。前々から江戸の火消しはたいした消火道具も持たずに、どうやって火を消したのか、という疑問が氷解した。また、江戸時代の頃には幕府が盲人を手厚く保護していて、盲人の最高位の検校というのはとても偉かった、というのもはじめて知った。江戸のあれこれ満載である。薀蓄だけが良かったわけではない。火事退治のためなら命も捨てる火消しの心意気に感動する。
2014/01/29
はにこ
火消し達の粗っぽくて格好よい姿が良かった。火消しのかしらとして父の背中を見せる徳太郎。その背中を追い続け、葛藤しながら成長していく銑太郎。江戸の街は本当に火事が多くてでもその度に何度も再生してきた街なんだなぁとしみじみ思った。
2020/05/06
Nazolove
前半かなり火事関係ないやん!と思いながら読んでいったが後半になるにつれ火事がつきものみたいな物語だった。 火消が火を消しに行って亡くなるなんて皮肉だなぁ、と思った。 当時の消火の仕方は建物を壊して広げないようにするという考え方で、そりゃあ火事だからと言っても壊された身からしたら嫌だよなぁ、などと考えながら読んでいった。 火事と喧嘩は江戸の華、なんて(以前も同じようなこと書いたが)言う言葉があるように火事に対しても祭りみたいな掛け声、威勢のよさが描写されていて非常に面白い作品だった。
2014/09/16
rakim
火消しは江戸の花形職業とはいえ、物語はこの仕事の内側を丁寧に淡々となぞっていく感じで、思ったより地味でした。仕事に命をかける男と家を守る女。逆のようですが意地をもかける男の色気と、見守る女性の矜持を感じました。山本さんらしい安心して読める一冊。
2010/10/24
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