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木もれ陽の街で (文春文庫 も 18-5)

木もれ陽の街で (文春文庫 も 18-5)

木もれ陽の街で (文春文庫 も 18-5)

作家
諸田玲子
出版社
文藝春秋
発売日
2009-02-10
ISBN
9784167677053
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木もれ陽の街で (文春文庫 も 18-5) / 感想・レビュー

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じいじ

 終結に近づいてバタバタ感がみられたが、内容に厚みがあり面白い小説である。昭和26・7年の東京荻窪の6人家族、主人公は23歳の長女公子。戦後の家庭の雰囲気描写はよく描けている。向田邦子的だが、故人を敬愛する著者だけに止むを得ないと思う。公子が親のすすめる医者の卵の好青年ではなく、うらぶれた貧乏画家に恋する気持ちを、私的には親の立場としては承服できないが、本作を読みながら納得していた。デートを隠す後ろめたさ、家族への嘘が重なる罪悪感に胸を苛まれる公子の心理描写が実によく描けている。公子の言葉遣いは惚れた。

2014/11/24

ぐりぐら

諸田さんには珍しい現代ものの恋愛小説。と言っても舞台は戦後間もない東京。今よりもずっと男女交際にも厳しい時代で恋愛の仕方や考えも今と違うとはいえ、恋をした主人公の気持ちは何ら変わりない。これはこれで良かったけれど、読んでみて、やはり私は時代小説の諸田さんの方がしっくりくる気がしました。

2017/09/24

パルフェ

再読だった。 生い立ちや生活環境が全く違う異性への憧れ。不自由なく暮らしている子女が、自堕落で退廃的な人間にどうしようもなく魅力を感じてしまう。錯覚恋愛だから、大概実らない。 異質な世界のものに、共有と共感ができるかどうか、それが2人の間のハードルを越え共に生きられるかどうかの鍵。

2020/01/18

青豆

戦後間もない昭和26年の東京を舞台にした恋愛小説。ヒロインの公子は四人兄弟の長女であり、商社の医務室に勤める生真面目な性格の女性。しかし心優しく賢い、とても魅力のある女性であつ。そんな彼女が恋をした相手は崩れた魅力のある画家の片岡。現代と違い恋愛、殊更に女性の貞操に関して厳格な時代。相手に熱い思いを伝える事ができず、胸の奥に秘めた思いが深まっていく様が何とも切ない。諸田玲子さんは時代小説の印象が強かったのだが現代物も素晴らしい。文庫本を買って手元に置いておきたい作品だった

2014/06/09

エドワード

昭和26年の東京を舞台にした小説。荻窪に住む小瀬公子は、丸の内の大手商社の医務室で働いている。ある日、画家の片岡と知り合い、お互いに惹かれあっていくが…。戦後の暮らしの描写が詳細で興味深い。現代とは比べものにならないくらい恋愛に厳しかった時代。でも人の心は変らないものだ。小説中にも恋心の故に悲惨な結末に至る男女が随所に出てくる。公子の心も、現代の私達と何ら変わらぬ情熱を秘めていた。実らぬ恋であったとしても。

2011/08/23

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