かってまま (文春文庫 も 18-7)
かってまま (文春文庫 も 18-7) / 感想・レビュー
優希
何とも不思議な話でした。不遇な身の上の美しい娘・おさいの数奇な運命が語られます。不義の恋で生を受けたおさいの運命は、江戸の大火によって回り始めたと言ってもいいでしょう。色々な女性と関わるようになったおさいは、出会った人の心を少しずつ揺らして癒していくのが何ともいえずじんわりきます。おさい自身は誰かを待っているようですが、果たして誰なのか気になって仕方ありませんでした。謎と人情が心にぐっとくる物語だと思います。おさいの「さい」は人生のさいころの「さい」なのではないでしょうか。
2014/09/11
ひなきち
不義の娘おさいの数奇な人生。凪いだ水たまりに、小石を投げ込むがごとく…彼女の周りでは波紋が広がっていく。7つの連作短編…7人の主人公がいて。でももちろんおさいが陰の主役で。最後に真相が明らかにされる構成が面白い。欲をいえば、真相がもっと意外だったら、もっと面白かったかな…という気も…。とはいえ、夢中で読んだ!一番好きなのは「とうへんぼく」だが、「かげっぽち」の、奈美江と伊夜のとあるエピソードに、「う、上手いなァ~」と思わず唸った。ますます作者読みをしたくなった!
2017/07/28
roomy
おさいは幸せになれたのでしょうか。彼女のことがもっと知りたかったな。ライブラリー本。
2014/10/06
onasu
幼い折より、美しくも何事かを覚った如くの娘おさい。不義の子として里子に出されるも育ての親は早々に亡くし、別の商家の養女となるも、そこに留まることなく数奇な糸に曳かれるが如く。そして、美しいだけではなく、何か見えるものがあるのか、その折々に出くわす女たちの心も揺らしていく。 男性が好んで読むようなストーリーではないが、手に取って読んでみれば、あっと言う間に。待ち時間や移動時間にぴったりな作品かもしれません。
2023/01/17
baba
不義の子おさいは里子に出され、その里親とも死別し過酷な人生を強いられ、おさいとおさいに関わる人々の短編集。望まぬ人生を生きらければならなかった女性の気持ちが伝わり、辛い境遇を一生懸命生きる市井の人々の心情が胸を打つ。最終章に鶴屋南北が語りとして登場、今までの暗い話から急に話しの内容が変わり面食らう。
2014/08/03
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