パラレル (文春文庫 な 47-3)
パラレル (文春文庫 な 47-3) / 感想・レビュー
yoshida
会社を辞め離婚した七郎。友人で女好きの津田。離婚しても連絡が来る元妻。刹那的な日常が淡々と描かれる。個人的に相性の良い作品でするすると読める。まあ、離婚した私としては、元妻が連絡をよこしても返事はしたくないが。冷静に考えると様々な事件が起きている。「ああ、本当に良かった」と当事者より自分が安心する、人間の本質的なエゴイズムも描かれる。そこを淡々と読ませる静寂と緩やかさがある。少し村上春樹さんの作風に近いかも知れない。恐らく、私はこの作品の緩やかさに心を惹かれたのだろう。長嶋有さんの他の作品も読もうと思う。
2020/10/25
mr.lupin
まったり進んでいく物語。時間軸があっちにいったり、こっちにいったり、二人の男性の心の揺れ動きをを描いています。結構身近にもそんなヤツないそうな気配がするような心境で読み終えました。ある意味ドラマを観てるようでした。☆☆☆★★
2016/08/09
アマニョッキ
「お前が悲しくて泣くんじゃない、僕が悲しくて泣くんだ。いや、泣かないけど。」このあたりは「ジャージの三人」と地続き。レタス畑と市役所で主人公は同じたぐいのことを思う(でも述べない)のだ。「金輪際」のエピソードは何度読んでもすきなのだが、兎の名前も、知らなくてもいいんだ、もいいよな。わたしだってわりといい大人になるまでミッフィーなんて名前知らなかったもの。だってうさこちゃんだったものわたしのときは。そんなわたしは昨日その兎のTシャツを買いました。かわいいの。
2019/07/06
アマニョッキ
読友さんのレビューを読んで、久々に読みたくなった一冊。前に読んだときに(まだ独身だった)私の部屋にもトレスポのポスターが貼ってあって、読んだあとに剥がして丸めてカバンに入れてみたのを思い出した。(今の今まで忘れていた!)長嶋有の小説とは、こういうことなんだな。誰しもに起こり得るドラマ。些末で無駄に見えるけれど生が感じられる日常。自分でさえ忘れているような思い出を誰かがきちんと覚えてくれているということは、思いの外泣けるのだ。「人は皆、誰かの安心のために生きている」
2017/06/20
hit4papa
妻に浮気をされ離婚を余儀なくされた主人公、(元)妻、主人公の親友、親友と仲良しのキャバ嬢らのゆるゆるの交流が描かれています。深刻さを胸にしまい込み、事実を受け止めてそれに折り合いをつけていく様は、あるべきおっさんライフとでも言いましょうか。うっとおしくならない距離感での友情は、うらやましくさえありますね。
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