新装版 証明 (文春文庫) (文春文庫 ま 1-134)
新装版 証明 (文春文庫) (文春文庫 ま 1-134) / 感想・レビュー
あなご
男と女の事件四編を収録した短編集です。一番印象に残った作品は『密宗律仙教』です。宗教団体の誕生から成長まで描かれていて宗教の怖さを感じると共に作者の知識の深さに感心しました。
2014/01/14
yokmin
昭和40年代の物語集。「新開地の事件」は東京の近郊、武蔵野が住宅地に開発されていく過程の描写が興味深い。しかし、最も衝撃的だったのは清張の小説ではなく、阿刀田高の解説である。「点と線」が大変な人気を集めたばっかりに、以後推理小説に深入りしたが、「推理小説の本当に良い書き手だったのだろうか」と疑問を挟む。推理小説に出会わなかったら、「社会と人間の真実をえぐることにひたすらな、トリックなどに無駄な気をつかわない普通の小説の大名作を残したのではないか」と。そう言われてみれば・・
2018/05/20
シュラフ
「証明」 「新開地の事件」 「蜜宗律仙教」 「留守宅の事件」を収録。本筋からはずれるのだが、真言密教の教義というのはよく分からない。今回 「蜜宗律仙教」を読んでみて、それが少しばっかり分かったような気がする。真言密教には男女行為を思わせるものがある・・・空海が唐からもってきたインド的仏教思想の中には愛欲肯定の考え方がある・・・人間の本能を抑圧する協議は不自然・・・凡人に性の煩悩を抑える規律を強いるのは道理に合わぬ・・・性の現実をあるがままに受け取ることだ。こういうことなのだろうか。
2015/02/10
紫の煙
4編を収めた短編集。新興宗教を扱った作品、アリバイ物、男女のもつれとバラエティに富んでいる。地味ではあるが、手堅い印象で、さほど古臭さも感じない。
2014/08/15
ton
装丁違いで所持。ねっとり濃厚短編四本立て。表題作「証明」、原田美枝子さん&風間杜夫さんで映像化されている影響で、お二方で脳内再生される。「新開地の事件」「密宗律仙教」「留守宅の事件」読み応えあり。犯人予測は安易ながらも、そこに辿り着く過程に読む手が止まらなかった留守宅の事件が一番良かった。
2021/02/19
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