しょっぱいドライブ (文春文庫 た 58-2)
しょっぱいドライブ (文春文庫 た 58-2) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
2002年下半期芥川賞受賞の表題作と、他に2つの短篇を収録。語り手は34歳のミホ。お相手は、推定年齢が61,2歳くらいで「たるんだちくわ」みたいな九十九さん。一応は恋物語のようでもある。しかし、性交渉は「あったような、なかったような」ものだし、恋心を燃やすといった世界からは遠い。(おそらくは九州の)漁港のある田舎町の閉塞感もまた、あるようなないような。たしかに、併録の2篇も含めて、特に人間関係のありようにおいて大道珠貴に固有の小説世界があるだろう。それが評価されたのだろうが、読者層を想定しにくい小説だ。
2013/05/20
kaizen@名古屋de朝活読書会
芥川賞】標題のままの内容だと思って感想を書こうと思ったら、すでに「しょっぱいドライブ」の「タイトル通りしょっぱい小説」と書かれていた方がお見えだった。同じことを感じる人がいると少し安心。「丸い感じ」という感想にもどきっとした。最初直木賞だとばかり思って読んでいて、違和感がなかった理由が分かった。暗い話ばかりでなく明るい話も書ける人だと感じた。表紙の絵が素敵。解説がないのが残念。新装版にするときにはぜひ解説を書きたい。明るい絵に合わせた話を書いて欲しいかも。
2014/05/11
えにくす
電子図書館本。芥川賞受賞作品。全3話からなる中編集。表題作は30代女性と60代男性の、恋愛物語。しかし内容は空虚な女性がダラダラと、肉体関係を重ねながら付き合う物語。先が見えないし、オチなしで終わる。次の「富士額」は女性が関取と付き合う話だが、あっという間に終わり全く意味が分からない。ラストの「タンポポと流星」は高校を出た女性が福岡から上京して、東京での仕事や生活、恋愛事情を描いた物語。これが一番マトモで、こちらの方が表題作よりも芥川賞に相応しいと思った。全読破時間1時間半は、読メ新記録だ。★2.2
2022/07/23
はらぺこ
全くではないですが自分には合いませんでした。馴染みの無い方言やったから合わなかったのかも知れません。 たぶん『母に捧げるバラード』を捩ってるであろうセリフは好き。というか九州地方の方言は『母に捧げるバラード』か『三代目スケバン刑事』しか自分は持ってないので嬉しかった。知らん場所で顔見知りを見つけて安心したような気持ちかも。
2012/03/19
エドワード
時がゆっくり流れる港町。ミホと元カレの劇団員遊サン、親子ほど年の離れた九十九サンとの三角関係。しょぼさもひとしお、ユルい会話に心地よく緊張の糸がほどける優しい絆。「富士額」はお相撲さんと中学生の恋。お相撲さんって若いのよね、青春ド真中で修行の身、当たり前だけど。最後は田舎を飛び出して東京で就職した未散と、マイルドヤンキー毬子の絵に描いたような腐れ縁の奥深さ。ウチの家族、私も妻も長男も成人式に全く無関心、長女だけ張り切って参加。いつも思うけど成人式ってなぜ1月なんですか?みぞれ空に散々な映像が目に浮かぶよ。
2017/02/03
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