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世界のすべての七月 (文春文庫 オ 1-3)

世界のすべての七月 (文春文庫 オ 1-3)

世界のすべての七月 (文春文庫 オ 1-3)

作家
ティム・オブライエン
Tim O'Brien
村上春樹
出版社
文藝春秋
発売日
2009-06-10
ISBN
9784167705732
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世界のすべての七月 (文春文庫 オ 1-3) / 感想・レビュー

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優希

静かな人生の味わいの時間が流れているようでした。30年ぶりの同窓会に集う男女。封印されたはずの記憶が紐解かれ、苦い思い出と共に再会するのが印象的。50も半ばになれば忘れる夢や希望が、30年前に戻ることで思い出されていくような空気が見えました。幸せを求め、もがく人生のクロニクル。若干鬱のような空気感が心地よく感じます。

2017/05/08

SOHSA

《購入本》ティム・オブライエン初読み、というよりもこの作家自体を全く知らなかった。村上春樹の翻訳という繋がりで偶然書店で見つけ読むに至った。作品の登場人物たちは世代的には私よりもやや上だが、年齢のギャップよりも当時の混沌とした米国社会が抱えていた問題を巡るギャップのほうが私にとっては遥かに手強い壁だった。60年代から70年代にかけての米国にとってはベトナム戦争は避けては通れない問題であり、それは現代の米国を語る時に9.11が避けて通れないのと同じことなのかもしれない。当時の米国を理解することなしに (→)

2019/02/06

mt

大学を卒業して30年、同窓会に集った仲間は皆50歳を過ぎ、肉体的に衰えは隠せないが、精神的な成長が30年分あるかといえばそうではない。未だに未熟な男女が戦争の傷痕を抱え、離婚や恋愛に苦しむ。世代共通の悩み事でも、若くはないと感じる意識が老いを引寄せて、悩みと焦りに拍車をかけてしまう。そんな世代の窺い知れない内面を最初から最後まで赤裸々に引き出した。置かれる境遇の違いはあっても、等しく年を重ねる同窓生はいいものだと思った。

2016/08/13

sakap1173

大学を卒業して30年のそれぞれの生き様と、同窓会での邂逅。皆、大人になりきれない53歳の群像ドラマでしたが、読み応えありました。 村上さんの訳でなければ、読んでない気がします。 登場人物多くて大変でしたが、面白かった。

2024/01/26

ミツ

52歳にして30年ぶりの同窓会に集ったかつての若者たち。失われた片脚、切除された乳房、二人の夫、溺死した不倫相手、ある時代と人生のなかで失い、擦り減っていったもの。群像劇の形で語られるそれらの物語はどれもなかなかに心えぐられるのだが、下劣だがどこか小粋なユーモアのおかげで漂う奇妙な明るさに少し救われる。人生も半ばを過ぎてなお、ハッピーエンドという幻想を追い求める彼ら彼女らの不格好さがなんとも愛おしく、思わず応援したくなる。そして一気にたたみかけるように展開するラストシーンの素晴らしさ。佳作。

2013/07/31

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