音もなく少女は (文春文庫 テ 12-4)
音もなく少女は (文春文庫 テ 12-4) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
このミス2位の作品で、初読みの作家さんでした。内容や訳も含めて賛否両論あるようですが、自分はとても好きな作品です。言ってしまえば「母と娘の親子愛」に一貫したテーマで物語が展開していくのですが、様々な心理描写が随所に入ってきて、個人的には飽きることなく、退屈せずに読めました。ただ、他の読友さんのレビューにもあるように、やはり「国」の違いなのか、このスタイル(風潮)が日本で理解きるかといったら、少しキビしいかもしれません。でも、ミステリーという枠を越えたひと組の親子のクロニクルとしては素晴らしかったです。
2010/11/09
遥かなる想い
2011年度版このミス海外2位。この本はミステリというよりも、耳の聴こえない少女イブの 壮絶な人生を描いた物語である。暴君のような父親、そして必死に耐える母親とイブ。アメリカのひどく暴力的な側面を描きながら、人間賛歌の物語であり、犯人探しの話ではない。 それにしても、ボストンテランという 作家は2作目だが、 抑え気味の文体がよい。 静かに綴りながら、読者に語りかけるような 深い余韻を残す 傑作である。
2011/01/30
黒瀬
どうしようもないろくでなしな男たちに人生を翻弄され、自身の境遇を悲観し、神に背きながらも己の責務を全うするために運命に抗う強い女性たちの物語でした。生まれながらにして全く耳が聞こえないイヴの人生はフランという一人で生きる女性と出会った事で大きく変わるのですが、その道は前途多難・艱難辛苦に満ち溢れていました。冒頭で物語の行き着く先が暗示されていますがそこに至るまでの過程がこれでもかと言うほど仔細且つドラマチックに描かれ、穢れた表現が多いにも関わらず、それを感じさせないハードボイルドな世界観でした。
2020/01/30
カムイ
初読みの作家、いやぁ〜疲れたいい意味で余韻に浸れた。3章からなり冒頭からショッキングな出だして少女のイヴ・レオーネを主軸に母のクラリッサと女店主フランの大河小説!舞台はブロンクスにイタリヤ系の貧困家庭にイヴは育つ、この様な家庭は大概父親がクズなのだが、まぁ、絵に描いた様なクソ親父でした、暴力で支配しようとするのは虫唾が走る、そこは時代背景などリアリティーがありアメリカの暗部を如実にあぶり出していた、麻薬であったり銃社会の中でいつ命を落としかねない中で女性達の逞しく生きていく様は応援したくなる!作家も→
2021/09/19
星落秋風五丈原
外側から想像するようなミステリではない。事件は起こるが犯人は明かされており、その謎が解明される事自体も大きな問題ではない。では何の話かといえば、やはり原題=Woman、女性達-がどのようにサバイバルしていったかという話になる。。「少女」とあるが、登場人物達は庇護されるままの少女に留まっていない少女であった時でさえ、庇護される存在ではなかった。誰も救ってくれなかった。救えなかった、という方が正しい。自分達より、はるかに様々な能力を持つ大人達でさえも。では誰が救うのかといえばイヴ達だ。アダムはあてにならない。
2015/05/29
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