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プラナリア (文春文庫)

プラナリア (文春文庫)

プラナリア (文春文庫)

作家
山本文緒
出版社
文藝春秋
発売日
2005-09-02
ISBN
9784167708016
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プラナリア (文春文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

5つの短篇を収録。冒頭に置かれた表題作は文体、表現ともにプロフェッショナルな感じがしない。もっとも、読み易い、あるいは親しみやすいとして肯定的に捉える読者もいるだろうと思う。また、これらの作品群は、よく言えば演劇的、逆の見方をするならばシチュエイションや人物の造形がわざとらしいということにもなりかねない。いずれにしても、5篇はいずれも人と人との関係性に依拠している。しかも、登場人物自身にも、ましてや読者にもいかんともしがたい相互の齟齬を描き出す。その容態は、カミュ『異邦人』を通俗化したようなあり様を示す。

2019/09/22

さてさて

”働く”ということは、社会に参加していくことなのだと思います。そして”働きたい”とは、”社会に参加したい”という意思表示の現れであり『お金のこともあるけど、そうじゃなくてさ』と言う人の中には、集団社会の中で生きる生き物同士が、自然と社会に参加していない人を思いやる感情、社会への復帰を促す思いやりの感情があるのではないか、そんな風にも思いました。『無職』となり、モヤモヤと鬱屈とした感情に包まれる主人公達。彼女たちの心の叫びに、逆に”働く”とは何なのだろうと、考えるきっかけをもらったとても印象深い作品でした。

2021/06/05

短編集。どの主人公もどこか中途半端にモヤモヤするし、不器用な面がある人たちでした。『あいあるあした』は男性主人公で、その他は女性主人公。表題作が1番インパクトがありました。共感するかと思い読みましたがどの主人公にも正直イライラしてしまい今の私はあまり共感出来ませんでした。私が周囲の人間なら、自分にはない過去や悩みを抱えたあの主人公たちの扱いが大変だろうなと思いました。

2023/01/19

hit4papa

乳がんを患って、明るくも、楽しくも、元気よくもない女性が主役です。一言で表すとうっとおしい。明日へ向かっての一歩手前で、うじうじと硬直している状態です。彼女は、自ら社会不適応者を任じ、乳がんを唯一の持ちネタと公言してはばかりません。ただ、自分が彼女と同じ立場ならどうでしょう。同情的な雰囲気を嫌って、先に自嘲気味な笑いを取ろうとするでしょうか。それとも彼女のように、周りを不快にする態度を取り続けるでしょうか。変なプライドが邪魔しない分、乳がんをアイデンティティと言い切ってしまう彼女は、潔いのかもしれません。

2016/08/03

mae.dat

表題作を含む短編5話。最終話を除いて、割り切れない気持ちを残します。心に余裕がない時は読んじゃダメな奴。プラナリアはさ、寄り目が愛嬌があって可愛いと思うのよ。でも特筆すべき点は自己再生能力ですもんね。主人公氏は、若くして乳癌のステージ4と診断され病巣を切除したの。そこがね、自己再生したらって思っているの。そうだねって思う。本体側は。でも切除された側は、癌細胞人間として再生するのかな。怖っ。いや、細胞は無尽蔵に分裂を繰り返せる訳ではなく、材料もエネルギーも必要な訳ですし無理か。プラナリアは不思議で凄いな。

2022/11/17

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