星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)
星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
大好きな作家さんの出世作を、今ごろになって読むなんて。そして案の定、完膚なきまでに打ちのめされた。人の心情をここまで文章で表せるなんて。あとがきを読んでラストのお話だけが異色な理由がわかったが、できれば別立てにして欲しかった、かな。
2018/05/12
だんぼ
コロナ 戦争まえ ぼくが初めて読んだ本でした。今思うと あたりまえの物語。しかし 当時のぼくは救われました。村山さんの心象風景と共に。社会に適応する そりを合わせる そのことが最重要な時代。家族より 恋人より 社会
2023/10/29
さてさて
『幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない』。村山さんらしく、美しい言葉の中に深い含みを持たせる言葉が印象的に物語を読者の心に刻み込んでいくこの作品。そこには、家族6人それぞれの生き様が描かれていました。家族それぞれの視点からお互いがどのように見えるかを描く中に、それぞれの繋がりの意味をも感じるこの作品。まさかのリアルな戦争の描写に度肝を抜かれるこの作品。“どこかに一条の光が射すような終わり方を心がけた”、とおっしゃる村山さんの優しい眼差しを見る中に、”幸せ”とは何かを読者に問いかける、そんな作品でした。
2023/01/14
三代目 びあだいまおう
端的に表せば『とある家族の連作短編集』家族それぞれ視点で少し重めのエピソードが紡がれる。兄妹の禁断の恋、不倫、いじめや暴力、其々がとても考えさせられるテーマであり、人の奥底に確かに存在する個々の価値観や体験に触れる。各話淡々と進むが終盤の繋がりに自然涙腺は崩壊。好きになれず共感できなかった主人公達がいつしか愛おしく崇高に思えた。一人ひとりの孤独な星々が、知らず連綿と関り合いながら世という海を漂う、家族という名の星座であり舟。何と秀逸なタイトルか!まさに直木賞に相応しい、心震える素晴らしき愛の小説だ‼️🙇
2020/03/17
Atsushi
血縁関係が少し複雑な家族の物語。それぞれの視点で描かれる六話からなる短編集。一話毎の内容をとても重く感じた。半分血の繋がった兄と妹、暁と沙恵の禁断の恋が何とも美しい。一方、重行が背負った戦争の傷跡はあまりにも痛々しかった。ラストの「幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない」はけだし至言。第129回直木賞受賞作。
2017/08/28
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