ダブル・ファンタジー 上 (文春文庫 む 13-3)
ダブル・ファンタジー 上 (文春文庫 む 13-3) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
村山由佳氏は2作目。以前に読んだ『花酔ひ』は、なかなかに官能性を有していたが、こちらは裏表紙に「衝撃的な官能の物語」と謳いあげるほどには官能的ではない。まず主人公の奈津がさほど魅力的に描かれてはいない。そして、相手役の志澤の言動にヒンがない。夫の省吾もまたそうだ。これでは読者を官能の世界に導くのは到底無理である。中央公論文藝賞をはじめ、3つもの賞を受賞しているにしては浅薄な感が否めない。小説全体の文体も投げやりで、濃密さを欠く。これでは下巻が思いやられるが、はたして文学賞に相応しく持ち直すのだろうか。
2018/05/13
三代目 びあだいまおう
『花酔ひ』での村山さん初体験が衝撃すぎて他の作品はと手に取る。上巻背表紙には『束縛から解き放たれた女性が、初めてめぐり合う生と性、その彷徨の行方を正面から描く衝撃的な官能の物語』と。直感で選本する私への殺し文句か?人気脚本家の奈津は夫に抑圧されながら、憧れの演出家とのメールやり取りにより女としての欲情がまるでお湯を注がれた茉莉花のように花開く!官能表現がストレートなのに私の感情が揺さぶられない不思議。登場人物に共感も没入感も抱けない。下巻には期待してよいのか、言葉巧みな男がモテるのには納得はするが‼️🙇
2020/01/24
さてさて
主人公の奈都が『官能』の世界に魅せられ、自らの中にその炎が灯るのを感じるこの作品。”セックスを描くのは好きですよ。もともと、本来ことばにするのが難しい感覚を、的確に描いて、読者の感覚を翻弄したい、引きずり回したいという野心があるんです”。そうおっしゃる村山由佳さんが『官能』な世界を描くこの作品。合計46通にものぼるメールのやりとりや『官能』な描写の美しさに、一気に読み進んでしまうこの作品。主人公・奈都の心の揺れ動きと、悶えるような感情表現の上手さが際立つ、なるほど村山由佳さんの代表作!と感じた作品でした。
2022/04/23
相田うえお
★★★☆☆18094 主人公は自宅で脚本の仕事をする既婚女性の奈津。彼女は演出家の先生とメールをやり取りをしているうちに不倫をしてしまいます。それがきっかけで、彼女と仕事を共同経営しているつもりになっている夫の介入・束縛に我慢が出来なくなり一人暮らしを。。と話は流れていきます。読んでてイライラ〜。彼女も彼女、夫も夫、先生も先生、あんたら何なんだ!誰にも肩入れできないぞ〜!この内容疲れる〜〜!それだけに、飼い猫の環ちゃんシーンは癒されたよー。ラストで、またまた妖しい雰囲気〜。後編ではどうなることやら。。
2018/10/16
machi☺︎︎゛
共感できたらダメなんだろうけど共感できる。こんな旦那だったら尊敬している作家先生に惹かれていく気持ちはわかる。旦那だけが悪いんじゃないという見方もあるだろうけど、妻の性欲を満たす為に、はいはい、手でやってあげるから。はいただけないな。また新しい男性も出てきて下巻へ続く。
2019/06/27
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