ダブル・ファンタジー 下 (文春文庫 む 13-4)
ダブル・ファンタジー 下 (文春文庫 む 13-4) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
下巻は上巻よりも一層失速の感が否めない。これでは全体として恋愛文学としても、また官能小説としてもおよそ成功からほど遠いと言わねばならない。「週刊文春」での連載だが、作家自身にも当初はそれ相応の意気込みがあっただろう。だが、残念ながらそれが空回りする結果に終わったようだ。最大の欠点は、主人公を含めて登場人物たちの役割が固定されており、それぞれがステレオタイプの域を出ていないことだ。また、表現が安直に過ぎるのも大きな欠点。例えば奈津の言葉「私と―友情のエッチ、しませんか」なんて、中学校の演劇部でも使わない。⇒
2018/05/14
さてさて
『ここまで来た以上、もう後戻りはしない』と強い思いを自らの行動の先に抱く主人公の奈都。そんな奈都が『官能』の快楽の世界に身を委ねていく様がこれでもかと描かれるこの作品。上巻を圧倒する濃密な『官能』シーンの連続に危うく放心しそうにもなるこの作品。しかし、読み終えて感じるなんとも寂しい感覚に主人公・奈都が背負う人生の寂寥感を感じました。そんな奈都の感覚をまさかのジョン・レノンとオノ・ヨーコの「ダブル・ファンタジー」に重ねるこの作品。一冊の作品の中で人の心の根底にある感情に鮮やかに光を当てた、そんな作品でした。
2022/04/25
相田うえお
★★☆☆☆18095 下巻開始の章からブツブツ言いたくなるわけでして「よぅ、お奈津さんよー、さらに 先輩に、坊主に、役者かい!おいおい、もう〜いい加減にしな!でなきゃ、空手チョップと16文キック同時にお見舞いするよ〜!」ってなる〜。いや〜 家を飛び出した理由など何処に行ったものか。まあ上巻から苛々する話なわけですが、下巻も殆どその延長のままページが流れていきます。旦那さんもなんだかなぁ〜。まあ、皆んなが納得してるならいいのか。読後感は「やれやれ」ですね。やっぱり、猫の環ちゃんがいちばんまともだと思うんだ。
2018/10/17
hiro
脚本家の主人公・奈津以外登場する女性は、ほぼ編集者の杏子だけで、妻子ある男性と不倫関係になっても妻たちは登場せず、男女の問題以外煩わされるものがほぼない奈津と男性たちとの関係を描いた官能小説。奈津は登場する男性の多くと男女の関係となっていくが、そのなかでモラハラの夫・省吾だけでなく、師匠的な存在の演出家・一狼太、大学時代のサークルの先輩・岩井から、次々と脱皮するように解放されていく姿が描かれている。このように解放されていく奈津には、若干鼻白むところもあるが、解放された脚本家・奈津を続編で見たい気がする。
2018/07/03
yumimiy
上下まとめて。読友さんの紹介本、読む読まないは任意だが読んじゃった。一言でいうなら注文の多い女、人のSEXを笑うなというがこれが笑わずにいられるか。正真正銘の淫乱エロ女を自称する奈津、デリバリしたホストのリードが不満でイライラ、乳をグイグイ揉むな、こねくり回すな、早朝のパン屋の仕込みじゃあるまいし!感じるのは先っちょ、各パーツは先っちょが敏感なのよ。するとホストはう~んと気持ちよくしてあげると囁く…「絶対だな」と奈津。性欲のうすい夫が恨めしい夜は年季の入った自慰で落とし前をつける。絶倫∔淫乱=エロエロ平和
2022/04/08
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