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あした咲く蕾 (文春文庫 し 43-5)

あした咲く蕾 (文春文庫 し 43-5)

あした咲く蕾 (文春文庫 し 43-5)

作家
朱川湊人
出版社
文藝春秋
発売日
2012-03-09
ISBN
9784167712051
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あした咲く蕾 (文春文庫 し 43-5) / 感想・レビュー

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pino

東京が舞台の短編集。「花まんま」は関西弁も手伝ってパンチが利いたが、こちらは若干、大人しめな雰囲気。また、手のひらで温めていた優しさを最後にふりかけてくれるような救われる話が多かった。自分の力ではどうしょうもない子供時代の不遇。あのとき側にいてくれた人。あのとき聞こえた声、夢、雨。花びら、古い中華店。切ない思い出が懐かしい風景とともによみがえる、朱川さんらしい設定となっている。一人の人間が小さな体で悩み、苦しみ、救われ、やがて頑なな気持ちを解く…。 そんな経験を経た人だけが持ってる仄かに甘い飴のような話。

2017/08/28

新地学@児童書病発動中

朱川さんの本はどれも面白いですが、これも期待通りの作品でした。普通の日常の中にちょっとだけ不思議なことが出てくるお伽噺。どのお話も読み終わった後はじーんと胸が震えます。現実的な話とは言えないのですが、よく考えてみれば現実の世界を反映しているのかもしれません。この物語の登場人物が持っているのは不思議な得意技ですが、どんな人でも何かしら得意なものを持っています。その能力はささやかものであっても、この社会の役に立って誰かを支えているのです。朱川さんの人間に対する信頼感が物語の底に流れているのが良かったです。

2013/10/05

りゅう☆

命を分け与えれる叔母の命が尽きる時が切なかったけど、彼女の大雑把な性格がもたらした結果にホッコリ。/母の恋人への複雑な思い。彼の決意と行動力のおかげで変な超能力ともオサラバでき新たな関係に安堵。/鍋に吹き込まれた命の価値の大きさとオバチャンに元気をもらった。オバチャンの炒飯食べてみたいな。/これからも2人で歩んでいくはずだったのに空の人になった大事な彼。でも永遠に一緒にいたいと言った彼の言葉が実感できた瞬間に胸いっぱい。/寂しい人間になる前に出会えた彼女。彼女も願掛けが叶ってよかったね。そんな純粋無垢の→

2020/06/24

tengen

ホラー色より切なさが強く、重松さんチック。でも所々に不可思議が潜んでてそこは朱川さんらしい。☆彡命を分け与える美知恵さん。雨の日に超能力を発揮する弘美ちゃん。落ち込む人を元気にする鉄鍋を操るカンカン軒の女主人。空から永遠に見守るスニフの様なお父さん。どん底に落込む寸前に自分を救ってくれた知恵遅れの君。母と大好きだった母の妹明恵叔母さんの物語。やっぱり最後までやってくれた愛すべきフカシマンの友。あした咲く蕾/雨つぶ通信/カンカン軒怪異譚/空のひと/虹とのら犬/湯呑みの月/花、散ったあと☆彡雨つぶと虹が好き。

2015/06/02

アッシュ姉

朱川さん7冊目。昭和の東京下町が舞台の7つの物語。せつなくてじんわり、あたたかくてほんわか。心にポッと灯りがともるような優しい読後感。解説によると『花まんま』と対になる作品で、朱川さんがたいそう力を入れてお書きになったそう。どれが表題作になってもおかしくないハズレなしの短編集でした。一番印象に残ったのは「カンカン軒」。豪快なオバちゃんの火炎太鼓が生み出す絶品ネギ卵チャーハンが食べたい。素敵なラストの「雨つぶ通信」と「虹とのら犬」もお気に入り。

2016/01/12

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