ドリームタイム (文春文庫 た 61-2)
ドリームタイム (文春文庫 た 61-2) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
【birthday book】田口ランディさん作品も9作目です。今作も異色?な短編集で、意外とフツーな内容に正直、ちょっと残念気味かなと。やっぱり過去読んだ作品のようにランディさんには、ヒヤっとするオカルトモードな部分と、ぐいぐいと押し寄せてくるエロモードがバランスよく構成された作風を期待してしまうのですが、本作はどちらも備わっていないように思えました。やはり最初の頃に読んだ電波系3部作のインパクトがあまりにも強烈なせいか、そう期待してしまいますね。唯一、共通するネタとしては‘シャーマン’ぐらいかなと。
2015/10/30
紅香@本購入まであと9冊
さっきまで動いていた人が死んでしまうと動かなくなる。その差は何?人は何のために生きているのだろう。日常の雑踏の枠から本当の意味での外に出る。不可解なことが多くて目眩がする。そこはポッカリ穴が空いていて、過去と未来、生と死に自由に繋がっている。どんなに目を凝らしても真っ暗闇で恐ろしい。でも見つめずにはいられない。頭が膨張する13のドリームタイム。読む者を生命の淵まで連れてってくれる。何かこの手を掠めたような。ちょっと不思議な旅。夢先案内人になれるのは田口ランディさん以外、私は知らない。心がしーんと鎮る一冊。
2019/02/27
タナー
最初の「ピエロ男」を数行読んで、またまたどっぷりとランディさんの世界に浸かってしまった気がした。短くも美しく、切なく、そしてちょっぴり寂しいが、心地よい時をもたらしてくれる13の物語。生と死、神の存在を主なテーマとして取り上げた、素晴らしい作品集である。最後の「不知火の夜」は、この1冊を締めくくるに相応しく、「ピエロ男」と同じくらいのインパクトを感じた。何ヶ月、あるいは何年か後に、また読みたくなるような1冊だ。
2017/05/19
ケイ
実際の話かと思って読んでいると、「肉の花」あたりで、彼女の見ている夢と現実、また希望が入り混じった作品なのかと思えてきた。以前に読んだコンセントあたりはグロエロで読んでてしんどかったが、彼女の一部分がこの短編集のような形で出されると感情移入しやすいし、同感できる部分も多い。他の人が何をして欲しいのかを一生懸命に考える人は結構いるだろうが、それを死者に対してもさらりと行おうとするところが彼女の独特なところだと思う。彼女の小説を読んだ後だと、死者に対して恐怖というより理解でき得るものという気になる。
2010/11/30
cithara
甘いロマンスかとばかり思っていたら、裏表紙に「短編集」の文字が。そして内容もランディさんの壮絶でスピリチュアルな経験に裏打ちされたものだった。『シェルター』→怖い作品。長編で読んでみたいと思う。『トイレの神様』→同名の歌がヒットする以前に書かれたものだが、歌よりもリアル。トイレが玄関の真正面にある家なんて住みたくない。バリ島の布でそんなにあっけなく霊を封じることが出来るのか? 『私に似たひと』→本人は意識していなくても、他人に似てるねと言われることはままある。私にも道子のような知人がいた。
2013/10/15
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