旗師・冬狐堂 瑠璃の契り (文春文庫 き 21-5)
旗師・冬狐堂 瑠璃の契り (文春文庫 き 21-5) / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
ううむ。文春文庫では冬狐堂シリーズ第2弾となっているけれど、講談社文庫『狐罠』『狐闇』が先だったのかな?「倣雛心中」「苦い狐」「瑠璃の契り」「黒髪のクピド」なんとも渋い珠玉4編収録。よくぞこんなミステリー&物語紡げるものです。北森鴻さんの知識と技に素直に感嘆。若き陶子はもちろん、友人のカメラマン横尾硝子やプロフェッサーDと、人物関係にも興味津々。新年早々、俗に言う『深みにハマった』状態です。 (^^ゞ
2012/01/01
白玉あずき
陶子さんと硝子さんに会いに。彼女たちの生き方を見ていると「凛冽」という言葉を思い出す。北森さんの美学なんだろうが、確かに美しく素晴らしくはあるけれど、他方痛々しくてつらい。どうか彼女たちが少女に戻って甘えられる場所を用意してあげてよと言いかかって、北森さんがとっくに鬼籍に入られていたことを思い出した。寂しいのぉ。
2019/03/02
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
女性古美術商・陶子を主人公にした冬狐堂シリーズの第2短編集。骨董品や美術品が絡んだ事件を、そのモノに込められた人たちの思いをも浮かび上がらせながら解き明かしていく味わいもさることながら、罠にはめられた状況を覆していく騙し合いの醍醐味までもがしっかりと描かれ、長編の良さまでもがギュッと詰まった珠玉の短編集になっている。降りかかる困難や、かつての記憶に傷つき折れそうになりつつも、己の生きる道に覚悟を決めていく陶子の内面的な葛藤も読み応えがある。それだけに、これに続く作品がないことが、ただただ残念でならない。
2013/01/09
イトノコ
博多の場末の酒場で切子の碗を入手した陶子。碗を見た親友の硝子が姿を消す。それは硝子の苦い記憶を呼び醒ますものだった。(表題作)/冬狐堂シリーズ・過去編と言おうか、陶子が画家の道を絶った理由や、恩師で元夫のDとの出会いと別れが描かれる。さて、今巻でも陶子は全国を駆けずり回り、心身ともにボロボロにされながらも謎を追う。そこが蓮丈那智が露払いを下僕どもに任せ、完璧超人として君臨するのとの大きな違いだ。それでも陶子が筋を通して凛と立っているのは、そうした過去の挫折から這い上がってきた自信によるのか…と想像した。
2021/08/25
venturingbeyond
2023年、最初の一冊。正月休みに、冬狐堂シリーズの短篇・四篇を読了。いつも通り、一癖も二癖もある古美術業界の人物が登場し、逸品をめぐるストーリーが展開される。今作でも、上質のミステリーを堪能させてもらいました。
2023/01/03
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