なぎら☆ツイスター (文春文庫 と 21-2)
なぎら☆ツイスター (文春文庫 と 21-2) / 感想・レビュー
harass
書評対談「読むのが怖い」で紹介され手に取る。群馬県那木良、震災後放射能汚染もありすっかり疲弊した田舎に、原子力施設を建設する計画が持ち上がる。地主への工作で1000万を渡すことになった組の若手二人が金もろとも行方不明に。やり手の幹部桜井が地元のヤクザ連中と協力するのだが…… 典型的な田舎の人びとへの悪意に満ちた描写に苦笑い。海外ものでもなく、ここまで容赦がないことに感心し600ページを一気に読み終える。テーマとかなんとかはさておき、この疾走感よ。こういうのを日本人作家で書いているのに驚いた。お勧め。
2018/10/21
Junichi Yamaguchi
『一円の価値』… 確かに ツイスター… 多少のエロと結構なグロ。 ページをめくるのが辛い描写も多々あったが、僕自体もツイスターに巻き込まれてしまった。。
2016/06/23
ハチアカデミー
不謹慎極まりない現代のエログロナンセンス小説でありかつアンモラルなゲス小説であるのだがしかし、それは本書が悪いのではない。いまある現実がそうなのだ。不適切な放射能関係罵詈雑言の雨霰によって、読者にその現実を直視することを強いる。フクイチの爆発以降放射能にまみれた地方都市を舞台に東京のヤクザと地元のヤクザが一千万円紛失事件を追う。東電のせいで職を追われた最下層の人々が互いに罵り恨み足を引っ張りあう地方の地獄絵図の中で事件は事実よりも肥大化し迷走を始める。震災後に大幅に書き換えられた、震災後文学の傑作。
2013/11/30
areazione
表紙絵、、、たいそうブラックな作品です。大地震の原発事故で放射能汚染された群馬(!)の那木良という地方都市が舞台(もちろん架空です)。最高にエンタメしてるヤクザアクションです。樋口毅宏さんの『雑司ヶ谷』シリーズのように、血と暴力と性愛と哄笑に溢れております。特に田舎への嘲弄は容赦ありません。しかし、ただ馬鹿にしている訳ではなく、その裏には鋭い批評性があります。究極の縦割り組織であるヤクザと、「事故」で見捨てられ頽廃した町・那木良との相性がとてもよいのです。
2014/12/22
MIKETOM
初出が2001年。文庫化が震災の翌年で大幅に加筆訂正された。舞台となった町が原発事故の近隣という設定に変更され、こういったセリフが新たに追加された。「この、東電脳が!」「セシウム野郎!」他にも色々と。俺は言葉狩りは大嫌いだし、やれ人権がどうのとかいう運動もヘドが出るほうなのだが、これは別だろうと。あの当時福島は風評被害に苦しんでいた。福島県民ってだけでいわれなき差別をする連中とこの作品はどう違うのか。わざわざ加筆訂正してまでおちょくる必要があるのだろうか。これを読んだ人がどんな感想を抱いたのか聞いてみたい
2019/11/21
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