ハルカ・エイティ (文春文庫 ひ 14-3)
ハルカ・エイティ (文春文庫 ひ 14-3) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
これはもう主人公ハルカの魅力に100%依拠して書かれた小説である。たしかにハルカは常に躍動的で魅力にあふれている。ただ、その造形が現実のモデル(作家の伯母)を持っていることが「後日談」で明かされるが、それもまたフィクションであるならばいいのだが、残念ながらそうではないようだ。プロットは大正生まれのハルカが物心ついてからの女としての一生を辿るのだが、それはそのまま昭和史を綴ることにもなっている。読み物として痛快で面白くはあるが、いささか軽快に過ぎるようだ。それこそがハルコの魅力に他ならないのではあるが。
2020/07/29
ミカママ
カオルコさんいわく「なにも起こらない、女の一代記」らしいが。関わりを持ったオトコとの始末のつけ方、80になっても化粧映りを気にする美意識。こんなふうに老いていけたらな。
2017/02/13
takaC
The HARUKA's life is stranger than fiction. とバイロンのような感想を持った。あと、何作か前の朝ドラの太陽の陽子の『おひさま』を彷彿とさせる話だった。
2015/04/08
shizuka
81歳の老婦人ハルカさん。おばあちゃんおばあちゃんしたお話かと思ったら全然違った。しょっぱなから超モダンで「あれ、癒し系じゃない」と思ったのは内緒。けれどハルカさんの子供時代へ遡り、順をおってハルカさんがどういう人生を歩んできたのか、の物語が始まったら、のめり込んだ。ハルカさんは若い頃からなんとなく立ち位置というのを弁えていたように思える。いつも等身大。姑さんがなんとも優しくてほっこり。W不倫しながらもそれが夫婦のスパイスになり最高に円満という関係。新鮮だ。姫野さんのあとがきも愛に溢れていて気に入った。
2017/03/08
hrmt
最初は80歳往年の美女の恋多き波乱人生物語を思わせる。まるでNHK朝の連ドラのよう。けれど主人公ハルカは偉大な業績を成したわけでもなく、夫とも添い遂げて1人になり、けれど“女”である事を忘れずにそれを楽しんで生きている。夫婦がお互いに恋する人ができ、それをも夫婦のスパイスとする。泥沼にせずにいるのはなかなか難しい。けれどそんな夫婦の絆もあっていい。50年も夫婦なら今の時代十分偉大だ。人間80年も生きていたら色々あって当たり前。でも自分で人生を楽しめる事が大切よねと思う。それを歓迎する夫の大介さんも素敵。
2022/10/28
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