絹屋半兵衛 あきんど 上 (文春文庫 こ 25-3)
絹屋半兵衛 あきんど 上 (文春文庫 こ 25-3) / 感想・レビュー
まつうら
湖東焼を起こした絹屋半兵衛の一代記ながら、半兵衛の妻留津の気配りとやさしさが印象的な作品。多くの資本をつぎ込み、焼き物づくりに邁進する半兵衛も、留津の支えがなければ為し得なかったのではないだろうか。うまくいかずに窯を作りなおしたり、共同資本家の離脱があったりで、創業の苦労はたえない。いちばん辛いのは、事故で大怪我を負ってしまった棟梁の昇吉が、自ら願い出て半兵衛のもとを離れていったことだろう。「枯れていく花をいつまでも飾っておくのは、花が可哀そうや」引き留めたい半兵衛の本心がとても辛い。(下巻へ続く)
2023/01/27
なにょう
「幸田真音」さんは現代の金融をテーマにしているのではなかったか?時代は違えども「あきんど」商人の苦労が偲ばれる本作。「湖東焼」「佐和山」。湖東焼なんぞ聞いたことないぞ。近江の佐和山は石田三成のお城だったところ。JRの琵琶湖線から見えるよ。★焼きものの魅力に取り憑かれた古着商いの半兵衛は、染付け磁器の生産に取り組む。これは実話である。苦労に苦労を重ねて磁器を作っても、窯の維持・補修に金はかかるし、瀬戸・有田が席巻する市場に食い込むのは容易いなことではない。そこへ藩が絡んできた。さてどうする?
2020/11/15
zanta
47/2/7/2015 日本史は苦手だった私だが、最近ちょっと興味を持っている。学校で学んでいた頃よりはずっと。多分自分が高齢者に近づいて、歴史の中に埋没していく日が近づいたから、先人達のことが気になってきたんじゃないかな。いま学びなおしたら身につくだろうな。近江商人って聞いたことのある言葉だけど、お金を得ることじゃなく、何か成し遂げようとするパワーはすごいと感じ入る。
2015/02/07
山内正
彦根絹屋半兵衛は若くして 有田焼の窯師と仲間等で新しい焼物 を目指し土地探しから窯造りと進む が思いの他苦心する、品物として 出来てゆくが段々人が辞めてゆく 資金も続かず藩に融資を頼むが うまく行かず新たな壁に当たり 近江商人の意地をはる。
2018/03/23
ks3265
金融小説を書いている著者が時代小説なので不思議に思って手に取った。滋賀で湖東焼を創設した絹屋半兵衛の伝記小説。小樽出身の著者が北廻り船で縁の深い近江商人を題材にとって新境地を開拓するために執筆したと思って読み始めた。井伊直弼の暗殺の場面から物語りは始まるので、つかみは十分。焼き物を始めて近江商人は知らなかったので面白く読み勧めた。
2016/03/24
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