深淵のガランス (文春文庫 き 21-6)
深淵のガランス (文春文庫 き 21-6) / 感想・レビュー
KAZOO
「はつばあば」さんの感想を読んで再度読みたくなりました。美術作品が好きな私にとっては北森さんのこの作品や旗師などの作品がこのみです。総じて主人公が魅力ある人物になっています。この作品でも二つの顔を持ちながら、その技量を惜しげもなく読者に見せてくれます。私はこの中に収められている3作のうちでは表題作が一番好きです。もう少し書いてくれればという気持ちばかりあります。
2017/11/24
カナン
作務衣に白度に雪駄、腰まである総髪。銀座の花師であり同時に秀でた絵画修復師でもある佐月恭壱、かっこいい! 某狐や民俗学者と同じ世界線で存在しているこの世界観やっぱり大好き。「美の残滓」を悪用され飛ぶ立つ翼を奪われた憐れな贋作師の系譜。メーヘレンもキーティングも美神を愛し愛されてしまっただけの果ての破滅なのだ。美しきもの見し人は、はや死の手にぞ渡されけり。美に魂を奪われたものの人生はいつだってトラジコメディ。このシリーズは二冊目の「虚栄の肖像」で途切れてしまっている。改めて北森鴻の早すぎる逝去が惜しまれる。
2022/01/12
はつばあば
久し振りの鴻さんでした(^^♪。絵画修復士と花師の二つの仕事を持つ佐月恭壱。女狐が登場となると旗師冬狐堂の女主人宇佐見陶子シリーズの再読も要するなぁと思いながら読んでいたら、リハビリの時間とお迎えが。本など読まないというイケメン揃いの理学療法士達に本の良さを伝えるほうが難しいと諦め、終わってから北森鴻の世界にどっぷり浸かりました。
2017/10/19
金吾
独特の世界に著者が自分の美意識を持っているのだろうなと感じました。「深淵のガランス」はラストが意外で印象に残りました。「凍月」も良かったです。
2024/01/26
エドワード
古本屋で北森鴻さんの作品を見つけた。銀座で花を活けながら絵画修復も行う佐月恭壱、新しい主人公だ。生き馬の目を抜く欲得づくの業界、待ってましたの展開だ。ガランスとは茜色という意味。大正末期に活躍した画家の作品の下に別の作品が隠されていた!謎の解明に、宇佐美陶子サンを彷彿とさせる旗師やら謎の中国人やらが跋扈する。鑑定士と修復師は裏と表、という言葉が面白い。X線分析、絵具の化学解析、ハイテク技術の説明も楽しい。「血色夢」は石器時代の洞窟壁画と分割絵画をめぐるインディ・ジョーンズのような活劇、やはり面白いですよ。
2017/06/19
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