変人 埴谷雄高の肖像 (文春文庫 き 31-1)
変人 埴谷雄高の肖像 (文春文庫 き 31-1) / 感想・レビュー
佐島楓
確かに「変わった人」なのだが、その裏に自身の確固たる思想が見え隠れするのが単なる変人にとどまらない才能を示している。戦後直後の文壇事情もわずかに垣間見られ、作家にとっては本当に良い時代だったのだなあとも思う。
2017/03/24
midnightbluesky
死霊はモノすごい本だということは知っているが未読。周囲の人からの証言で浮かび上がってくる輪郭著者の聞き取り方技術は秀逸
2009/03/11
まゆき
埴谷雄高本人について27人への聞き書き。埴谷本人についてより「死霊」という作品についての語りがそれぞれで違っていたので、本人については言いづらい部分を作品の批評に込めた場合もあるのかなという感じも。個人的には吉本隆明の「(死霊には)エロスが足りない」に共感。「死霊」は私にとっては萌え小説だけれどエロスが加わっていたら大変なことになっていたと思う。さすが(?)吉本隆明。でもこの聞き書きは埴谷雄高と死霊以外のもっと大きな何かを記録しているような気もする。いい仕事だなと思った。
2012/04/11
hf
2020年6月1日 0:07 出てくる人の名前が一部車谷『文士の魂・文士の生魑魅』と被っていた。吉本隆明はニーチェの話を少ししていた。同じ著者の『物語論』より内容があっておもしろい。埴谷雄高は「反出生主義」だったのだな。買ったのは2016年か2017年でずっと放置していてけれど、今年の正月に実家にあったのを奈良に新しくできていたカフェに持参して半分くらいまで読んで疲れた。それでまた置いていたが5月後半からまた読み出した。飯田義國、島尾伸三のインタビューがよかった。
2020/06/01
いのふみ
他者の視点から見た埴谷雄高。27人のほとんどが彼の小説をあまり理解していなかったように思える。自身の文学に対して一途で、それ以外はほとんど知らない、飾らない古風な文学者といったところか。そんな彼の人柄、文学的名声に吸い寄せられるように同業者も、そうでない人も、素人も、さまざまな人が集まったように見える。文学者がいまより影響力があった、古き良き時代とも言えるか。「埴谷雄高の優しさは、究極だれも信じていないニヒリズムに基づいていたのだろう」が納得。
2012/09/15
感想・レビューをもっと見る