構造主義的日本論 こんな日本でよかったね (文春文庫 う 19-5)
構造主義的日本論 こんな日本でよかったね (文春文庫 う 19-5) / 感想・レビュー
佐島楓
構造主義とは何だろう、という方は「寝ながら学べる構造主義」をお薦めする。 極論が多くてびっくりしてしまうかもしれない。著者の真意を汲み取る力が必要。 でも総じて理解しやすく、納得する部分もあるのも事実。頭の中がクリアになる感覚は快感。
2011/04/24
Lily603
★★★★+ 内田さんの歯ごたえがありながらも読みやすい論考を集めた1冊。完全に学術書というわけでもなければ、自らの経験にばかり基づいた自己啓発本でもなく、○○すべしと上から教化する口調でもなければ、ふわふわと当たり障りのないことで埋まったエッセイでもない。そんな立ち位置が、とても好み。 * 『私が先賢に変わってきっぱりと申し上げるが、終わりなき哲学的考究に哲学者が勤しんできたのは「もういいや、ラーメンでも食おう」というひとことに千金の重みを与えるためなのである』 なんだか分かる気がする。
2012/12/11
ブロッコ・リー
表紙のデザインのせいでどうしても逆さに置きたくなる。一番身に染みたのは「不快という貨幣」のところ。思い返せば父親はそんな感じだった。どうして怒っているんだろう?といつもビクビクしていた記憶がある。強い個体は礼儀正しくそれゆえに周囲とのコミュニケーションを保てる個体なのだろう。所詮外部世界は言葉を媒介にして触れることしかできないわけだから。様々な価値観が「各自が持つお金の残高」に収斂された事による弊害についてもいちいち納得。
2010/02/18
大先生
「人間が語るときにその中で語っているのは他者であり、人間が何かをしているときその行動を律しているのは主体性ではなく構造である」「私たちが言葉を用いるのではなく、言葉によって私たちが構築され変容されてゆく」という構造主義をベースに日本の諸問題(政治や教育等など)について考察した本です。そして、本書には「そんなに変化を急がないほうがいいんじゃないの」という内田先生の気分が伏流しています。【我々日本人は変革を好むようであるけど、社会を一気によくしようという試みは必ず失敗することを歴史は教えていますよ。】と。
2022/08/22
浅香山三郎
移動中の読書。久しぶりの内田樹さんの本。2007年頃迄のブログの一部を文庫化したもので、本書を読むことが当該期のクロニクルを読むやうな感じである。出版された2008年には、民主党政権もできてゐないが、一回りして、再び安倍政権になつたからこそ、(近年流行りの為政者とそれに躍らされる人々の思考や言動の様式からは、)すこし落ち着いて、日本を疑つてみる大事さに気付かされた。
2016/09/29
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