銀漢の賦 (文春文庫 は 36-1)
銀漢の賦 (文春文庫 は 36-1) / 感想・レビュー
酔拳
3人の男の友情を美しく描き切った小説です。小さい頃から、壮年期、老年期と小説は時をまたいでいきますが、小さい頃からの友情は、一時は破綻してしまいますが、老年期にはいり、また強固なものになったところに、この小説のすばらしさがあると思った。現代では、友情は希薄なものになりつつあり、そこに一石を投じる小説だと思った。また、漢詩がところどころに入れ込まれていて、漢詩が人間関係をより濃艶に描き出している。ただ、漢詩の教養がないため、読解には苦労しました。葉室さんの、漢詩の教養の深さは、すごいなと思いました。
2018/02/15
KAZOO
葉室さんの比較的初期のころの代表作ではないかといわれているようです。幼馴染のそれぞれ身分の異なる三人が、成長するにつれ別れ別れになっていきますが、その後年を取りまた協力するようなことになります。非常に肩に力が入っているような感じがしました。あとでメモしておきたいようなせりふや言葉が結構出てきます。好きな作家さんになっています。
2024/01/21
抹茶モナカ
男の友情がテーマの大人のための時代小説。文体が硬質で、ガチガチ。あまり好きな文体ではなかったかな。難しい言葉をやたら使う割に、架空の人物の話なので、コツコツ読み下してみて、損した気分になったり。もっと、艶のある文体が好きかな。というか、難しくて、頭使って、疲れたわい!
2014/12/22
Gotoran
主人公は幼馴染の二人(文武両道で親の仇をとるために家老になった[松浦]将監。武術に優れるも郷回りのままの[日下部]源五。)。20年振りに再会、源五の視点で過去(幼年時)と50歳過ぎの現在が綯交ぜに物語は進行。幼馴染であった二人がもう一人の親友十蔵の死を契機に源五が(将監と)絶縁したが、20年の年月を隔てて将監の命を懸けた思い(志)を知って、(将監の)暗殺を命じられたにも拘らず、将監の脱藩を助ける源五。この二人の友情に胸が熱くなった。著者が描く、武士も百姓も関係なく志を高く気骨のある人間がみせる信念↓コメヘ
2014/01/03
ツン
山本周五郎の「土佐の国柱」という小説がものすごく心に残っているのです。名誉のために命をかけるのではなく、忠を成すためには自分がいかに不名誉なことになっても構わないという話。この本もそういう話かなと思って読んでいました。少し違いましたが、この男になら託すことができる、自分の命や大切なものを捨ててもいいという思い。そして、それを相手に知ってもらう必要すらないという。後で気づいたのですが、松本清張小説受賞作。納得の名作でしたが、最後の方は少しポップな感じになって、エンディングもクスッと明るい気持ちになりました。
2022/06/04
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