いのちなりけり (文春文庫 は 36-2)
いのちなりけり (文春文庫 は 36-2) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
清々しいまでの一途、哀しいほどの純愛!相手を想う究極の姿を描いた傑作❗親が決めた縁談を受け入れぬ美しき新妻咲夜が夫に告げた『あなたがこれぞとお思いの和歌を聞かせるまで寝所はともにすまい』という無理。拒絶である。夫の雨宮蔵人とは疎遠の道を歩むことに!長年互いに会うこともなく、しかし互いは『あなたに命を捧げます。そしてあなたを命懸けで守ります。例え何度生まれ変わろうとも!』現代ならば設定から失笑の的であろう。帝と将軍の諍い、権謀術数の世の狭間で決して報われぬ純愛に身を捧ぐ互い!いのちなりけり。嗚呼珠玉‼️🙇
2019/09/18
遥かなる想い
元禄時代に生きた蔵人と咲弥の物語である。 全編に漂う 抒情的な雰囲気が心地良い。 水戸光圀、柳沢吉保など 著名な人物の 登場が 元禄の雰囲気を醸し出すのだが… 正直 登場人物が多く、発散しがちな展開が 少し残念…昔ながらの一途な恋のお話だった。
2022/07/29
ふじさん
再読。葉室麟の作品の中では好きな作品の一つだ。鍋島藩と龍造寺の因縁が一組の夫婦(蔵人・咲弥)を数奇な運命へと導く。雨宮蔵人と咲弥は、一つの和歌をめぐり、命をかけて再会を期すのだが、幕府・水戸藩・鍋島藩・朝廷が絡んだ大きな騒動に巻き込まれ、波瀾の人生を歩むことになる。水戸光圀、綱吉、柳沢保明等の実在の人物が登場し、男女の恋の話だが、スケールが大きく、ストーリ性も高く、展開も速く、読み応え十分。蔵人と咲弥の人物像も個性豊かで魅力的で興味が尽きない。
2021/11/12
じいじ
この小説、2008年度・下期の「直木賞」の有力候補だったそうである。(3年後の2011年に『蜩ノ記』で悲願を達成)本筋は、小藩の重鎮の娘である、凛とする佇まいの美人咲弥と青年武士蔵人の恋物語だが、裏で藩の存亡を賭けた暗躍が繰り広げられます。読み終えて、この作品「古今和歌集」など和歌の素養があれば、もっと面白いのだろうと、その素地のない自分を悔やんだ。その面では少しばかり、私には荷が重い作品だったが、若い二人の恋物語は、そこそこにに堪能させていただいた。
2022/09/07
優希
面白かったです。数奇な運命と共に1つの和歌を通じての17年越しの想いが成就していくのにしみじみします。武家ものの時代小説でありながら、純愛だと思いました。武士の生き様や精神も描かれているけれど、軸にあるのは「恋」だと感じました。美しく、誰かを愛おしく思うような気持ちになります。
2016/04/30
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