花や散るらん (文春文庫 は 36-3)
花や散るらん (文春文庫 は 36-3) / 感想・レビュー
じいじ
映画が栄華を極めた時代は、毎年12月になるとどこかの映画社が「忠臣蔵」は製作していた。そのストーリーは、赤穂の田舎侍たちがチカラを結集して主君の仇を討つ―という、おおかた同じなのだが、せっせと映画館に足を運んだもんである。小説も然りで、大筋は分かっていても書き手によって、その解釈も違ってくるから読む価値あります。葉室麟による「忠臣蔵」は、氏が作家デビュー果たしたころから温めていた野心作だそうで、その熟考のあとがうかがて、なかなか面白かった。
2022/09/15
遥かなる想い
忠臣蔵を別視点から描いた作品である。 桂昌院従一位に纏わる柳沢吉保・吉良上野介と 大奥を軸に物語は語られる。 忠臣蔵をこの視点で描いたのは新鮮だが、 残念ながら 魅力的な人物が少なく 正直 少し抵抗感を感じる。
2022/06/16
優希
忠臣蔵と絡めた作品でした。静かに暮らしていた蔵人と咲弥が吉良上野介と関わることで赤穂浪士の討ち入りを目の当たりにしてしまいます。花はどう散るのかというのは、武士の最期の協奏曲だったのですね。事件は大変なはずなのに、爽やかさを感じずにはいられません。面白かったです。
2020/12/01
財布にジャック
「いのちなりけり」の続編なのかと思っていましたが、そうではなくて忠臣蔵がメインでした。思ったよりずっとずっと良かったです。吉良上野介のイメージも葉室さんのおかげで良い意味で変わりました。やっぱり忠臣蔵は、歴史モノの中でもピカイチな気がします。「いのりなりけり」と比較しても何倍も好みでした。
2015/11/12
Gotoran
『いのちなりけり』の二人(雨宮蔵人と咲弥)が浅野家の吉良家討入り(「忠臣蔵」)に巻き込まれるストーリー。登場人物の性格、想いが繊細かつ巧みに描き出される。赤穂浪士の討入りの裏で暗躍する時の権力者達の策謀に巻き込まれる蔵人と咲弥とその(訳ありの)養女の香也、物語に引き込まれながら、面白く読むことができた。爽やかな読後感。挿入の和歌“いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん”他、も味わい深かった。
2014/12/28
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