美術探偵・神永美有 天才たちの値段 (文春文庫 か 48-1)
美術探偵・神永美有 天才たちの値段 (文春文庫 か 48-1) / 感想・レビュー
ケンイチミズバ
洗面所にヒロ・ヤマガタのリトグラフが掛けてあります。唯一バブルの名残。名だたる美術品の現在価値、価額はほとんどが投資家が相場を左右していて真の学術的、歴史的、造形的価値からかけ離れているというかあんまりだと思います。非常に地味な鑑定作業を物語にするのはなかなか大変だろうと思う。読んでいて面白くないから。およそ作品の背景や鑑定士のキャラクター、個性で話を盛り上げるしかなく、読者にも知識がなければ知らない故に蘊蓄に感心するものの感動するまでには至らない。見る、触る、文献を読み漁る。あまりに地味だ。
2018/06/25
れみ
偽物なら苦味、本物なら甘み。その品を見た瞬間、その真贋を味覚で当てることができるという美術コンサルタント・神永美有と、短大の美術講師・佐々木昭友が、鑑定にまつわる5つの謎に挑むお話。佐々木や読者には思いがけないものが神永の舌に甘みをもたらしていたり、分かりにくいけれど父が息子を思う気持ちが込められていたり…作品の真贋とかだけではない、お話の結末につながる色々な展開を楽しむことができた。シリーズものらしいので、機会があったら続きも読んでみよう。
2018/05/30
いたろう
門井さんの単行本デビュー作。本物なら甘味を感じ、偽物なら苦味を感じる、美術品を目ではなく、舌で鑑定する、天才美術コンサルタント・神永美有。そして、語り手となるのは、「普通」の美術専門家、女子短大の佐々木昭友講師。神永は不思議な能力を持つものの、ただそれだけで鑑定をするのではなく、ちゃんと裏付けを示すので、美術ミステリとして、良くできている。対象は、ボッティチェッリ、フェルメール、涅槃図、ガラス工芸品など、バラエティに富み、ただ鑑定するのではなく、シチュエーションも様々で、謎解きミステリとして飽きさせない。
2022/02/12
aquamarine
作品が贋物なら見た瞬間苦味を感じ、本物なら甘みをおぼえるという天才美術コンサルタント・神永美有。短大美術講師の私視点で二人が上手く絡んで美術品にまつわる謎を解く連作短編でした。設定も謎解きも悪いわけではないのですがなぜか読みにくく入り込めず読み終えるのにやたら時間がかかってしまいました。神永の舌がもっと生かされてもいいと思いますし、特殊能力なのでキャラの魅力をもっと押し出したらもっと読み易くなるのではないかとも思います。美術品の薀蓄やミステリ要素は楽しかったのでとりあえず二作目も読んでみます。
2015/01/13
とも
★★☆美術ミステリーということで読み始めたものの、探偵の特質である鑑定舌も対して功を奏していないし、内容自体もジャンルは様々なものの浅く興味を惹かないことは致命的。
2014/09/01
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