荒野 12歳 ぼくの小さな黒猫ちゃん (文春文庫 さ 50-2)
荒野 12歳 ぼくの小さな黒猫ちゃん (文春文庫 さ 50-2) / 感想・レビュー
遥かなる想い
「私の男」で直木賞を受賞した桜庭一樹の本にしては軽い。鎌倉で小説家の父と暮らす12歳の少女山野内荒野の物語。少年への想い、父の再婚などを通して、少女の成長を描こうとしているが,むしろ小説家の父、再婚する義母、初恋の少年の描写の方がいきいきしている。
2011/02/19
七色一味
読破。舞台は鎌倉。鷹揚かつ風光明媚なその環境の中で、大人と子供がない混ぜになった微妙な年代の、多感な少女の成長する姿を描いた物語の1巻目。この環境なりには素直な主人公ですが──。父親が小説家なんですが、娘(主人公)をテーマに作品を書いては? と言った編集に対する逆上した姿と、主人公が持つ単一恐怖症の一種である接触恐怖症というのが、どこかでつながっていそうで気になります。これは続きが気になる作品です。
2013/06/09
眠たい治療家
荒野は中学1年生の少女で接触恐怖症。荒野の父はスケコマシの恋愛小説家。それゆえに様々な事件が起こる。そして、突然新しい母親がやってくる。その母親には連れ子がいて……恋という感情もわからない少女に訪れるのは、季節だけではなく葛藤や苦悩、そして甘く切ない感情。心も身体も大人への階段を上がろうとする戸惑い、輝ける青い成長期の揺れ動く感情が瑞々しく描かれている。平易な言葉で綴られる等身大の12歳、これが桜庭少女文学なのか。独特の文体は心地よく印象的。私はすでにオヤヂだけど、少女の心情がスッとイメージできた良作。
2011/06/02
美羽と花雲のハナシ
少年少女に向け書かれた本だと思いきや、内容はなかなかのディープさを内包している。荒野の恋。でも、この恋には色々な障害と波瀾を孕み、望んでいない方向に物事が勝手に進む。父親の好色と娘への溺愛。親友に秘められた想い。大好きな人が兄になる現実。憧れた女性に裏切られる悲しみ。無力な少女であるが故、嫌な未来にどんどん流される。自分の生きる世界ってこんなに狭窄で、この中で足掻く事しか出来ない自分。人間描写と心理描写が秀逸である。「ぼくの小さな黒猫ちゃん」この言葉に潜む父親の真意とは。悠也君の不器用な優しさにときめく。
2012/06/24
チアモン
恋愛小説家の父を持つ娘(小さな子猫ちゃん)の多感な時期の詳細をリアルに描いているなぁと思った。まだ、大人になりきれてない荒野。シリーズ 物。12歳編が終わったから次は14歳かぁ。自分はどんな14歳だったかな。ダメ。全然覚えてないや。次巻へ。
2019/03/07
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