荒野 16歳 恋しらぬ猫のふり (文春文庫 さ 50-4)
荒野 16歳 恋しらぬ猫のふり (文春文庫 さ 50-4) / 感想・レビュー
遥かなる想い
荒野シリーズ完結編だが、いったいこの物語を書こうと思った作者の意図は何だったのだろう…と読みながら思った。「私の男」が醸し出す世界との あまりのギャップに戸惑う。作品自身は「荒野」という少女の成長を淡々と描いているだけなのだが、終わり方も中途半端。
2011/03/21
七色一味
読破。恋しらぬ猫のふり──。淡い恋心を心に宿した荒野を、いみじくも評した正慶の言葉。恋を知った女は強い。「ふん。知るもんか」声を震わせながらも呟いたこの言葉は、荒野自身幼かった過去への決別の言葉か。2年と言う不思議な区切り方をした荒野の物語も、一応のエンディング。またいつの日か、北鎌倉の街角で荒野と出会えるだろうか。
2013/06/15
美羽と花雲のハナシ
変わらないと思った日常が動き出す。自分ではまだまだ子供だと思う。昔と変わらず同じ目線同じ感覚で思考し判断する。けれど、周りは成長したね、大人っぽくなったねと褒めてくる。自己と他者での齟齬が生じ、過去と今での乖離が起こる。肉体は大人の女に近付いてくのに、心は置いてけぼりを食らったような寂しさと焦りが同居する。蓉子さんは妹を連れて家出。パパには老いと衰えが訪れる。悠也は現実と向き合う。今となって自由な荒野に留まっているのは私だけだ。眼鏡からコンタクトに変え、全く違う風景を心に映す。16歳。また一歩大人になる。
2013/02/05
チアモン
シリーズ最終巻。おっと。急に大人になったね荒野。あーっ。ラストはちょっと消化不良。次の巻は出ないのね。残念。これからの荒野と悠也がどうなるか見てみたい。
2019/03/11
眠たい治療家
また少し時は流れ、山野内家の中でも変化が起こる。新しい家族。そして女のいない家。ずっと経験することのなかった女という孤独。少女が感じる他人、家庭、そして自分の内の女という『性』。避けては通れない『性』との対峙が印象的。変わっていくモノと変わらないモノ、取り巻く周辺環境に翻弄されながらも、強く大人への一歩を踏み出した少女。輝ける思春期の瑞々しい少女の成長を描きながらも、家と女というテーマも内包した物語である。3作を通じて少女の成長が愛おしく感じる、独特の言葉選びと揺れ動く心情の描写が素敵なセンスのよい良作。
2011/06/11
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