ブルースカイ (文春文庫 さ 50-5)
ブルースカイ (文春文庫 さ 50-5) / 感想・レビュー
kishikan
桜庭さんを読むのは「砂糖菓子・・」に次いで2作目です。書評などをまったく見ず読み始めたため、これが過去・現代・未来のタイムトラルの物語とは知らず。第二部にたどり着き初めて分かったのでした。というより、第一部(第一の箱庭)の中世ドイツの物語は、魔女狩りの話や主人公の少女、そしてその祖母の正体など、不思議さとハラハラ・ドキドキする展開。話に惹かれ二部の展開が楽しみ・・・と思っていたら、突然舞台は未来のシンガポール、アレレ!!タイムトラベリングという話も面白かったのですが、本当は一部の話を続けてほしかったなぁ。
2012/08/16
ふう
中世ドイツ、魔女狩りという闇の歴史で物語が始まります。その時代の街や暮らしの暗がりにすぐに惹きこまれてしまいました。二部の舞台は近未来シンガポール。明るすぎて立体感のない都市に生きる若者たちが、バーチャルな世界で闇の歴史と繋がっていきます。えっ、これはそういうお話?と気づいたのはそのあたりでした。共通しているのは『少女のいない世界』と、二つの世界に出現した日本の女子高生。弱い存在の少女として登場した女子高生ですが、彼女もマリーやチャムと同じように時代を強く生きたのだという描き方に、作者の愛情を感じました。
2014/12/26
有
携帯電話のメールの数や電話帳にある件数で、どれだけ人と繋がっているかをはかる。好きとか嫌いとか関係なく、繋がっていられる人が一人でも多く欲しいだけ。友達が少ないイコール駄目な人間、携帯電話のデータが少ないイコール嫌われ者。ブログにツイッター、フェイスブック。皆、誰かと繋がっていたい。本当の自分を解放したくて、受け入れて欲しくて。形がない自分に、形をつけようと必死で。この世は社交性がないと生きづらい。私も彼女と同じく、生まれながらに情緒不安定だ。時空間、仕組みはよくわからなかったけど感情はひしひしと伝わる。
2012/09/16
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
「現代・過去・未来」「繋がっている」「出会う、絶滅した〈少女〉という名の生物」 これだけでもかなりそそられて、今までこの作者の作品は読んでいなかったのだが、ミステリ、青春モノ、それからたしかファンタジー?ものも書いていなかっただろうか。そんなこんなでSFも書くのか…と購入。真実―ジャケット買いに近い。 が、これがあたりだった。飽きさせない。魔女狩りの時代のドイツ・近未来のシンガポール、底に現れる〈少女〉。その少女ってなんなの?どうなるの??と最後まで面白かった。 個人的にもう少し長くても良かった。
2012/05/17
アイゼナハ@灯れ松明の火
魔女狩りの嵐吹き荒れる中世ドイツを舞台にした『第一の箱庭』で心をグイッと鷲掴まれ、近未来の電脳都市シンガポールを舞台にした『第二の箱庭』でハハ〜ンと思わせておいて、待ち受ける『最後の三日間の話』の衝撃…なんか凄い本を読んだ気がする。救いのないラストのようにも思えるのだけれど、不思議と後味が悪くないのは、長く孤独な逃亡の果てに、同じ運命に向かって落ちていく仲間と“繋がっている”主人公の安堵の思いが伝わってくるからかな? それにしても…そんな風にせかいと繋がっているなんて、知らなかったよ。
2012/07/21
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