スリーピング・ドール 上 (文春文庫 テ 11-19)
スリーピング・ドール 上 (文春文庫 テ 11-19) / 感想・レビュー
修一朗
ウォッチメーカー読んですぐにこっちに来るはずがもたもたしちゃいました。待望のキネシクス尋問官,キャサリンダンス。先にサイレントヴォイスの楯岡絵麻を読んでしまったので取調室での丁々発止の攻防戦みたいのを想定していたら大分違っていて全くもってリンカーンライムシリーズ西海岸篇ばりのストーリー展開だ。二転三転アタリマエのジェットコースターに犯人側とぎりぎりのタイミングで丁々発止やりあう疾走感。肝心のキネシクスを駆使してのやり取りは少なめな気がする。犯人側のモンスターぶりが際立ってるねぇ。下巻へ。
2022/09/10
セウテス
【キャサリン・ダンスシリーズ】第1弾、上巻。尋問とキネシクスの天才キャサリン・ダンスが主人公の、作者の新しいシリーズ。カルト教団の指導者で殺人鬼のペルが、脱獄を計る。尋問を整理していて、ペルの計画に気づいたダンスではあったが、今一歩の所で取り逃がしてしまう。物語出だしから圧倒的な追跡劇に、新シリーズへの心配は吹っ飛んでいく。キネシクスはあくまで科学的データでありライムの手法とは異なるが、人間観察を持って真実を読み解く事は、ライムの物証からと同じ感覚のミステリ的満足がある。ペルの行動が、謎を深めて下巻へ。
2021/06/08
bookkeeper
★★★★☆ 再読。仕草や言葉遣いから真偽を見分ける"キネシクス"の達人キャサリン・ダンス。脱獄したカルト殺人の中心人物ペルを追う。言葉を聞くプロと言葉で人を操る悪魔の対決。ライムシリーズとは全く切り口を変えた犯罪捜査で、こちらも面白い。ペルが女を絡めとって支配していく過程が色んな意味で嫌らしいです。ダンスは嫌な上司に悩まされ、子育てや誕生会など私生活も何とかこなす姿に好感が持てます。書名のスリーピング・ドールはほとんど姿を見せず。 「どこにいるのかわからないサメは、姿が見えているサメよりはるかに危険だ」
2021/04/04
Tetchy
『ウォッチメイカー』で初登場した尋問の天才キャサリン・ダンスが主役を務めるスピンオフ作品。とはいえこの後彼女が主人公の『ロードサイド・クロス』も刊行されているから、新シリーズの幕開けといった方が正解だろう。新シリーズの主人公をあらかじめ他のシリーズ作品にゲストとして登場させる、このディーヴァーの目論見は当たっていると思う。他のノンシリーズの作品に比べてはるかに物語に移入しやすい。ダンス以外は全くの初対面の人物ばかりだがダンスがいるだけでライムシリーズの延長のような錯覚に陥りすんなり物語世界に入っていけた。
2012/04/14
Panzer Leader
あのディーヴァー作品であるからスピンオフとはいえ、どれだけどんでん返しがあるのかと身構えていたが、ドラマ「ライ・トゥ・ミー」と「クローザー」を足して2で割ったような至極真っ当な刑事モノ。キャサリン・ダンスの尋問・事情聴収のテクニックに魅了されながら、脱獄したカルト集団の指導者はなぜ他所に逃亡しないのかとか、まだ表舞台には登場していないスリーピング・ドールはこの先一体どう絡むのか、まだまだ予断を許さない展開にページをめくる手が止まらない。
2018/12/06
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