スリーピング・ドール 下 (文春文庫 テ 11-20)
スリーピング・ドール 下 (文春文庫 テ 11-20) / 感想・レビュー
修一朗
どっちかというとニューヨークの暗い側面を描いていたリンカーンライムシリーズとは対照的に拠点となるモントレー付近は明るい西海岸の魅力たっぷりだ。8年前の収監された事件とスリーピングドールが絡み合う複雑なプロットは好きなんだけれどもモンスターな犯人が実はそうでもなかったっていう展開には残念。徹底的に引っ張りまわされても最後にバーンとやっつけるっていうスカッとしたパターンがいいな。次作のプロローグを匂わせて終わってます。次行きます。ちょっと先になります。
2022/09/14
bookkeeper
★★★★☆ 再読。ペルを追跡する為にかつて"ファミリー"を構成していた女性が召集される。それぞれの人生を歩み始めていた3人、惨劇を生き延びた少女、ルポライター。敵味方や事件の真相は最後の最後まで分からない…。 息もつかせぬ展開とどんでん返しが堪能できる下巻。人の本当の狙いは見た目からは分からないというテーマなのかと思います。意表を突くためか、予想外の振る舞いをする登場人物が多い。個人的にはダンスの上司…オマエなんやねん(笑)。ダンスの予測すら超えるとは…。 「真実を知るのが怖いときってありますよね」
2021/04/13
セウテス
【キャサリン・ダンスシリーズ】第1弾下巻。脱獄したペルであったが、遠くへ逃亡せずにモンテレー周辺に潜伏している。何故か、やはり8年前の殺人事件の生存者スリーピング・ドールに関係するのか。犯人逮捕だけではなく、人と人の関係に様々な心理のひだを描いていて、この犯罪とのかみ合わせは見事に計算されているのは圧巻。変わらぬジェットコースター型の展開は楽しめると思うが、ライムと違って家庭や職場の仲間などの生活も今回は入ってくる様だ。眠れる人形の意味を、資産を含めた壮大な計画と考えた私には、少々物足りなかった所もある。
2021/06/09
Panzer Leader
同じような設定のためどうしてもテレビドラマ「クローザー」のブレンダ・ジャクソンと比較してしまう。ブレンダは私生活や普段の行動がダメダメの上、優しい尋問者を演じていて容疑者もついつい気を許したところで「さあ吐きなさいよ」とばかりに豹変、その落差の違い過ぎにカタルシスを感じたものだった。翻ってダンスは生真面目・真摯な捜査官で、旦那を不幸な事故で亡くしたとはいえ順風満帆な私生活なので、面白みに欠けるというかスキがない様な人物像であるのがちょいと残念。でも下巻に入ると十八番のどんでん返しも出て楽しく読了。
2018/12/11
Tetchy
このスリーピング・ドールという題名は読後の今、実は当時ペルに与した仲間の女性たちのことを指していることが解る。人の心を操るのに長けたペルによって人生を狂わされたリンダ、レベッカ、サマンサ、そして共犯者であるジェニー。この4人の女性こそがペルの呪縛によって眠らされていたスリーピング・ドールだったのだ。そしてその呪縛が解けた後のそれぞれの生き様が四者四様であるのが興味深い。特にサマンサとジェニーの変わり様が印象に残った。本書はまだ軽いジャブといったところ。今後のキャサリン・ダンスの活躍に大いに期待しよう。
2012/04/14
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