ポーカー・レッスン (文春文庫 テ 11-24)
ポーカー・レッスン (文春文庫 テ 11-24) / 感想・レビュー
Tetchy
これほど長く待たされたと思わせられる訳出も珍しい。ディーヴァーの超絶技巧が詰まったどんでん返しの宝石箱だ。本書における個人的ベストは表題作。本作では作者特有の予想の斜め上を行くどんでん返しも面白いが、何よりも物語の中身が実に濃密。そしてこんなギャンブル小説も書けるのかと脱帽。作者の新たな才能の片鱗を見せてくれた。ある意味本書は読書の功罪を孕んだ作品集と云えよう。ディーヴァー作品を初めて読むなら読書の至福を感じるだろうが、逆にこれが基準となればその後の読書に多大なる影響を与えることになりかねないからだ。
2013/09/08
bookkeeper
★★★★☆ 初読。 「ウェストファーレンの指輪」熟練の窃盗犯が科学捜査に追い詰められて…。思いがけず登場する名探偵の皮肉な扱いにニヤリとさせられる。 「生まれついての悪人」望ましくない友達と付き合い、徹底的に反目した娘が帰ってくる。母の愛情と恐怖が反転して予想外の姿を現わす。 「一事不再理」良心のかけらもない辣腕弁護士が法廷を操って勝訴するが、彼を雇ったのは…? 登場人物達が勝って笑うか、負けて破滅するかは、最後の一枚をめくるまで分からない。サービス精神に溢れる短編集。ライムとサックスも出るよ!
2018/09/29
じゅん兄
序章を読み、16回も撃たれてたまるかと思いつつ、読み終わってみたら見事に16回騙され続けていた。それでも自分が快感に浸っていることの不思議、それはあとがきに書かれた著者の作品に対する姿勢で解る。そう彼のツイストは嫌悪感を抱くものではなく爽快感を得られるものだった。作品としては意外な名探偵の登場に驚き、ライムの逢えたのもうれしい。だからディーヴァーはやめられない。
2014/05/18
紅はこべ
短編でもどんでん返しが生きるとはさすがディーヴァー。この本で悪人、犯意がある人物の方が生き生きと描かれている。
2015/01/05
chiru
今まで長編しか読んでこなかったことが悔やまれる短編集。 なかでも断トツで一級品だと思うのは『生まれついての悪人』シンプルかつ鮮やかなテクニックに陶酔してしまう。 追いつめられてることも、退路を断たれつつあることも気付かせない、スマートに火花を散らす頭脳戦。 エキスパートたちに弄ばれるターゲットは読者ってことかな。『終点では読者が無傷でジェットコースターを降りられるようにするのが肝心』という作者のスタンスの、ヴァラエティ豊かな仕掛けの数々に大満足! 他の短編も読みたい。 ★5
2018/10/17
感想・レビューをもっと見る