憂鬱たち (文春文庫 か 56-1)
憂鬱たち (文春文庫 か 56-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
カタカナ3文字のタイトルを冠された7つからなる連作短編集。登場人物は、基本的には主人公でもあり、語り手でもある「私」(神田憂)とカイズとウツイの3人。精神科に予約しつつ行けない「私」は、変わらないが、カイズとウツイはシチュエイションによって、様々な役割を担う。いずれにしても、すべては「私」の妄想であり、その根幹には潜在化された性的なリビドーが存在する。眼前の光景や、目にした人物を起点に妄想は連鎖的に広がってゆくのだが、残念なことに、それらの妄想は案外にも常識的であり、読者の想像を凌駕しないことである。
2019/07/23
りゅう☆
妄想の嵐。ネガティブ思考だけど、よくもこれだけ屁理屈がつらつらと述べられるな〜とある意味感心。精神科に行こうとしてなぜか違う所に行ってしまう話。バイトの面接受けたり、ミンク買おうとしたり、電器屋さんでマッサージ機買ったり、タクシー相乗りしたり、ピアス開けたり、コンビニ通い続けたり、精神科行けないのに皮膚科と耳鼻科に行ったり。そこでカイズさんとウツイくんとの出会いがある。金原さんのエッセイ(あるのかな?)を読んだこともないし、どんな人か分からないけど神田憂自身になりきって楽しんで書いたような気がした→
2016/11/19
優希
不思議な雰囲気を感じました。精神科に行こうと思いつつも、様々な事態に阻まれて行くことができない神田憂。彼女の前に現れるカイズとウスイという青年。エロティックな妄想が駆け巡る中に光るブラックなユーモア。官能の香りがしながらもどこかコメディなのが独特でした。短編集なので、同じ登場人物でも設定が少しずつ異なるのが面白かったです。歪んだ空気感にハマる人はハマりそうな気がしました。
2016/04/21
けいこ
精神科に行きたいのに妄想が邪魔をして辿り着けない全7話。主人公の神田憂の妄想に毎回『カイヅさん』と『ウツイくん』が出てきて頭の中を掻き回す。バーテンダーと神田憂、ショップ店員と神田憂、税理士と神田憂、医者と神田憂など、どの話もシュールでエロティックでなんだこれ?と思うけれどそこが最高に面白い。憂鬱の中の快楽に読者もハマる。金原ワールド好き♡
2022/07/29
おいしゃん
ぶっ飛んだ世界観とリズムが素敵。 精神科にいつまで経ってもたどり着けない主人公の結末が興味深い。
2020/10/03
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