扉守 潮ノ道の旅人 (文春文庫 み 34-2)
扉守 潮ノ道の旅人 (文春文庫 み 34-2) / 感想・レビュー
財布にジャック
残念なことに尾道に行ったことがないので、頭の中にこの舞台の街をイメージすることが出来ませんでした。作者の出身地の尾道をモデルにしているということなので、尾道にいつか行くことが出来たら、再読したいです。一歩間違うと怖いお話になりそうな題材なのに、ハートフル路線で読み心地が良いので、すらすらと読めました。短編集で、幻想的でファンタジックで不思議なお話が沢山詰まっていましたが、一つ選ぶとしたら「帰去来の井戸」が一番好きです。
2013/08/07
七色一味
読破。装画が綺麗で、手にとった作品です。広島弁って、もっと強烈なイメージあったけど、この作品ではなんだか優しげに感じられた。ちょっと物の怪系「磁場」が強い架空の街潮ノ道を舞台にした、現実と不思議空間が交錯する、なんとも奇妙な雰囲気の7つの物語は、徐々に徐々に、その不思議どあいを増して行く構成になっているように思えた。個人的には「帰去来の井戸」が最も好き。その物語の続きが気になる。
2013/02/04
hirune
帰去来の井戸の伯母さんがどんな姿で帰ってきたか知りたかったな。不思議な力が溜まりやすく、いろんな不思議なものが存在したり惹きつけられて寄ってきたりする潮の道の町の物語。サラサラとした読み心地の優しいお話しですが、ちょっぴり怖いスパイスも振られてます。扉守の守る異界に繋がる扉がすっごく素敵でした♪
2016/10/27
seri
尾道をモデルとした潮ノ道、そこを舞台とした幻想短編。これを「ファンタジー」と一括りにするのは勿体無い。民話のようで、童話のようで、でも確かに今に息づいている現代譚。ビー玉の中の模様を覗き込んだ時の、透明な中の鮮やかさ、そして同時に感じる不思議な懐かしさ。そんな空気を感じる。尾道を訪れたことは一度だけ、あの独特の忘れられない空気が確かにここにある。土地を愛する人たちの思いと共に。強く。あの細い路の先を曲がれば不思議なことが待っているような気がして、たまらなくまた尾道に行きたくなる。好きだなあ、この語り口。
2016/07/08
Rin
読友さんのレビューで気になって手に取った初読み作家さん。尾道がモデルとなっている「潮ノ道」。そこで暮らす人々は不思議がと共に生活をしている。ファンタジーなんだけれど、その不思議を自然に受け入れて、寄り添うように生活をする姿にほっとさせられる。不思議な力を持つ人も、ヒトではない存在も「潮ノ道」では生活していてる。ルールもちゃんとあって、日常に溶け込んでいる。短編ごとにちょっと怖いことも、悲しいこともあるけれど、読了感は悪くない。登場人物たちも個性的で親しみやすく、心が柔らかくなるような物語でした。
2016/03/28
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