ジーノの家 (文春文庫 う 30-1)
ジーノの家 (文春文庫 う 30-1) / 感想・レビュー
ミカママ
『ミラノの太陽』に続き、最近とみに魅せられているイタリアを求めて手に取ったこちら。前作でもそうだったが、魅力的な彼女の人生に飛び込んでくるイタリアの老若男女。エッセイ賞をダブル受賞した作品とのことだが、いくらなんでもこれはフィクションと考えたほうがよさそうだ。作家とは嘘をつく人種らしいから。そう考えると作中ところどころ見受けられるチグハグかと思われる描写にも、納得できるのである。
2019/08/08
ヴェネツィア
本書の著者、内田洋子さんも30年余イタリアに在住とのこと。すぐさま須賀敦子さんを想うのだが、須賀敦子さんの交友範囲が作家であったり、本の編集者といった、いわゆるインテリゲンチアであったのに対して、本書に登場するのは「飄々と暮らす、ふつうのイタリアの人たち」である。タイトルにも取られているジーノのように。そのジーノ自身も如実に体現しているのだが、イタリアの南北格差は、経済的にも文化的にも実に大きい。そして、彼女はミラノを愛しながらも、ナポリをはじめとした南イタリアを、捨て難い愛着と愛情を寄せて語るのだ。
2014/02/09
KAZOO
私にとって内田さんのたぶん3冊目の本ではないかと思います。エッセイの分野の二つの賞を受章されているようです。10のエッセイというか小さな物語が収められています。イタリアのいわゆる有名な観光地などの紹介ではなくご自分がつながりを持ったイタリア人との話が中心です。人懐こいというかヨーロッパでも北の地域の人々とはかなり異なっている感じがしました。このような話を読むと私も生のイタリアと接触したくなります。
2019/10/24
ぶんこ
お気に入りさんの感想を拝見して手に取りました。著者初読みですが、ジャーナリストの視点と温かい女性としての視点からイタリアを綴っていると感じました。何度も日本へ帰ろうと思っていながら三十余年が経っていて、その間も困難や理不尽な思いを重ねているとのこと。住人200人というポッジオに移住したキッカケの修道女、ペルーからの移民家族等々、魅力的な人も多数登場してきますが、何よりも著者の好奇心、行動力が突飛でもなく淡々としている点に惹かれました。
2018/10/23
のぶ
イタリアについての硬派なエッセイ集だった。自分はイタリアに1度しか行ったことがないので、お決まりの観光スポットしか見ていないが、著者はイタリア在住のようで、住んで感じるディープなイタリアの印象は、観光とはこんなにも違うのかと改めて驚かされる。生活臭が日本とまるで違って感じられるのだ。文章自体も甘ったるいところはなく、現地の生活文化をとてもよく伝えている。もし時間と生活に余裕があるのなら、こんな暮らしを体験するのもいいのではと思わせてくれた好エッセイだった。
2016/09/15
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