お別れの音 (文春文庫 あ 62-1)
お別れの音 (文春文庫 あ 62-1) / 感想・レビュー
おかむー
芥川賞も川端賞も受賞してる著者の六篇からなる短編集。『もうすこしです』。日常のなかでの言葉にあらわせない心のささくれのような引っ掛かりや、ほんのかすかな状況の変化に伴って起こるかすかな胸の内の動きが描かれる。作者のブンガク的な細やかで微妙な感性が余すところなく発揮されている…ハズ。すいません俺にはこういうブンガク的な感受性というものがすっからかんな模様です( ̄▽ ̄;。物語の起伏も少ない、オチらしいオチもないとしか思えず、行間や人物の内面に含まれる心の機微というものがまるで感じ取れないのよ。
2014/08/13
tom
あらすじにまとめてみたらわかりやすいクライマックスはないんだけど、でも別に良い、悪くないと思う話たちだった。文章が肌に合った感じ。中でもやっぱ最後にちょっと「おっ」と思った『役立たず』が特に気に入った。
2018/04/17
とりあえず…
卒業、退職、引っ越しといったはっきりとした別れもあるが、人は気づかぬうちに無数の出会いと別れを繰り返している。時として、それは他人との別ればかりではなく、過去との決別であったり、新たな自分の発見にともなう自分の考え方との決別であったりもする。 別れをテーマにした6篇。 なかなか楽しかった。 時には自ら別れを選択し、新たな出会いに進むのも悪くないかも。
2015/02/26
白玉
読了後に解説読んだら改めてこのタイトルの良さがわかる(o^^o)そんな短編集。自分のお気に入りは「新しいビルディング」と「ファビアンの家の思い出」。2話とも終わり方が素敵!という感じではないし、むしろどこか切ない部分があるのだけど、私はそこがツボでした。ファビアンの話は15年経ても手紙のやり取りが続いてるっていうのがいいなぁと思った。強く印象に残ったのは「役立たず」かな。何か終わり方が怖かった。うん、女性に恨まれることはするもんじゃないね・・・(ー ー;)本の厚さからしても隙間時間に読むのに丁度よかった。
2015/09/10
kaoriction@感想は気まぐれに
ありふれた日常、切り取られた感情。すれ違う人たち、忘れられない人たち。かすかな揺らぎ、芽生えた変化。6つの短編集『お別れの音』。私は「お別れノオト」とも思う。6つの話はどれも、誰か近しい友人の、日々の出来事、思いのあれこれをノートに記しているようだ。音の記憶と共に。何があるわけでもないありふれた日常。私たちの平凡な、日常。だからこそ、わかる感覚。わかる風景。いつかは忘れてしまうかもしれない人たちや出来事。それでも、繰り返される時間の中で私たちは生きていく。それが、人生。緩やかにでも生きて行こう、と思う。
2018/01/08
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