じつは、わたくしこういうものです (文春文庫 く 37-1)
じつは、わたくしこういうものです (文春文庫 く 37-1) / 感想・レビュー
masa@レビューお休み中
実はわたくしこういうものですと言われて驚くときって、大抵、そんな仕事をしているなんて意外って思うからですよね。でも、ここではちがいます。ここでは職業自体に驚かされるのです。聞いたことも、見たこともない、ふしぎな職業ばかりなのです。月光密売人、チョッキ食堂、ひらめきランプ交換人、シチュー当番などなど…。名前を聞いても、何を商売にしてるのかわからない人たちばかりが登場しちゃいます。しかも、ご本人の写真とお仕事道具の写真まで公開されたインタビュー本なのです。あっ、『架空』のインタビュー集なんですけどね。(笑)
2013/11/01
*すずらん*
なんて夢が詰まっているんだろう。本を閉じて、思わずそんな溜息が漏れました。著者の所縁ある人に、架空の職業を想定し行なわれるインタビュー。その様子をマエストロ坂本の写真が彩ります。若しかしたら私達の知らない所で、ひっそりと営われているんじゃないかと錯覚してしまう様な職業。いや、あって欲しいと願ってしまう様な素敵なお仕事。私達の胸をドキドキさせてくれます。だけど誰よりもこの本に胸をときめかせ、そこに夢を馳せているのは、著者である吉田夫妻である様に思います。こんなに書き手自身が愉しんでいる作品を、私は知りません
2014/03/04
れみ
ひとつひとつの章で、月光密売人など不思議な職業について紹介する構成。それぞれがそういう不思議な職業の人が存在する不思議なお話のような感じ。本当に存在しているかのような写真がたくさんなところも素敵。
2015/07/21
けい
クラフトエヴィング商會さんが送る人の職業に関する短編集?写真集?イラスト集?ファンタジー?全ての要素を併せ持つ作品集です。考えに考え抜かれた文字、写真、イラスト、カラーの配置が読む側を心地よく、夢見の世界へ。『冬眠図書館』なるものが実際にあるならば、残り3つの季節死ぬほど働いても、行ってみたいな。商會の中心人物、吉田夫妻の旦那様、吉田篤弘さんのあとがきを読んで、キッチリ現実世界へ。楽しい一時の旅でした。
2014/11/08
ユメ
知られざる職業の人々への架空のインタビュー集。街角で出会えたらどれほど素敵だろう。秒針音楽師さんに「一冊の本の中の一行のためのワルツ」なんてお願いしたい。白シャツ工房さんに仕立ててもらったシャツを二代目・アイロンマスターにパリッとさせてもらって、洗い立てのような気持ちで歩くのもいい。バリトン・カフェのマスターが静かさを「低音的」と表現するセンスに惹かれる。シチュー当番は魅惑の職業。コッペパンをお供に冬の夜の図書館に籠るのだ。いつまでも至福の世界を浮遊していたいが、優しい言葉に背中を押されながら帰ろう。
2014/07/31
感想・レビューをもっと見る