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真綿荘の住人たち (文春文庫 し 54-1)

真綿荘の住人たち (文春文庫 し 54-1)

真綿荘の住人たち (文春文庫 し 54-1)

作家
島本理生
出版社
文藝春秋
発売日
2013-01-04
ISBN
9784167852016
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真綿荘の住人たち (文春文庫 し 54-1) / 感想・レビュー

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三代目 びあだいまおう

『シュレーディンガーの猫』量子力学のパラドックスを例えた有名な話。この作品は私にとってパラドックス。真綿荘という下宿先に様々な男女が住まう。1人1人が主人公となり短編が続く。少し変わった恋愛観を皆が持ち、それはそれぞれの様々な過去体験が影響してるよう。人との距離感、不思議な価値観、互いにとても上手くいきそうにない個性が真綿荘ではしっくり交わる。この作品の恋愛観は私にとってパラドックス。わかるようなわからないような、それがとにかく心地よい。この気持ちがパラドックス!確かなのは鯨ちゃんを好きってこと‼️🙇

2019/11/22

黒瀬

面倒でこじれた人たちだなぁ。でもなんだか羨ましいよ。読後の清涼感は初冬のおぼろげな日差しの中に立っているような感覚に近い。真綿荘に集う人々の恋はそのほとんどが結ばれないだろうと思うほど障害が多い。たがここで過ごした日々は人生の中で最も強烈な記憶として残るのではなかろうか。壮絶に性格の悪い美女・絵麻に振り回される大学生・大和くんを主人公に据えた『海へむかう魚たち』と、大家でありミステリアスで艶やかな綿貫さんの過去をとあるおじさん視点で描いた『押し入れの傍観者』が特にお気に入り。

2020/09/21

おしゃべりメガネ

四年ぶりの再読で、島本さん作品としては3作目になって読みましたが、本作でグッと島本さんの世界観、作風に魅了されたきっかけとなったのを覚えています。下宿『真綿荘』の住人は管理人をはじめ、なかなか個性的な面子ばかり。北海道から上京し、大学に通う「大和」君をはじめ、とても人間味に溢れたキャラが次から次へと登場し、各々の目線で語り継がれる連作なので、飽きずにイッキに読了できます。ミステリアスな管理人「綿貫」さんのコトが綴られている最終章はなかなか島本さんらしくへヴィな展開でしたが、それはそれで'らしい'結びです。

2020/09/27

masa@レビューお休み中

真綿荘という柔らかくてふわふわした名前とは裏腹に、この下宿もここに集う人々も、柔らかさとは無縁の鉱物のような硬さと煌きに満ちている。閉じこもった世界には、異質なものが似合って、異端な人々が集まってくる。まるで、同じ匂いを嗅ぎ分けてくるかのように、それぞれが悩みを抱え、痛みを隠し、どこかで理解してほしいと願っている。だからなのか、ここにいる人たちは適度に距離をあけた付き合い方をする。奇妙なほど互いのことを理解しているのに、必要以上には近寄らない。野生の獣のような関係性の中で、平和が約束されるのかもしれない。

2015/07/13

ちょこまーぶる

初読みの作家さんですが、人の生き方の縮図を垣間見た思いで読んだ一冊でした。人の人生って本当に人それぞれで、その歩み方で今の自分を作っていくもの何だろうなとつくづく感じました。そのようなことを体験させてくれる場所が、最近はめっきり減ってしまった下宿だったんですよね。共有スペースでの語り合いが他者の価値観や生き方と自分自身とを比較対照して自分を見つけていくという場なのでしようね。印象に残った人物は鯨さんで、理由ははっきりしないけど出会ってみたいと思いましたね。今のシェアハウスでも同様な事が起こっているのかな?

2015/05/26

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