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世界の果て (文春文庫)

世界の果て (文春文庫)

世界の果て (文春文庫)

作家
中村文則
出版社
文藝春秋
発売日
2013-01-04
ISBN
9784167853013
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世界の果て (文春文庫) / 感想・レビュー

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夢追人009

中村氏の7冊目にして初の短編集。それぞれに解釈が難しい作品集で言ってしまえば無理に結論を求めようとしない方が良いのかも知れませんね。主要人物は殆ど「まとも」でない「いかれた」人ばかりですよね。暗いと一言で片付けられない味がどの話にもあって個々の読み手によって新たな発見があるでしょう。気が滅入ったら作品世界の「おかしみ」を見つけるのもよいでしょう。両手併せて指が4本でどうやって食事するのだろう?とか。「ゴミ屋敷」は兄も弟もヘルパーの女も医者もみんな壊れていて著者のユーモア感覚に初めて触れられて良かったです。

2018/10/05

ゴンゾウ@新潮部

今までの中村文則さんの作品とはかなり違った短編集。氏独特な暗い世界観はあるのだが抽象的で正直読み進めるのに苦労した。絶望や孤独、諦めがあるのだがその先の微かな光りに救いがあるのが氏の作風だど思っていたのだが。

2016/10/23

青蓮

「月の下の子供」「ゴミ屋敷」「戦争日和」「夜のざわめき」「世界の果て」5編収録の短編集。どの作品も深い闇の中へ沈んでいくような狂気性があります。まるで鏡に映った、自分のとても醜い暗部を覗き見てしまったような怖さも感じました。しかしその中にも中村氏流のユーモアもあって普段の作品とはやや毛色が違う印象もあります。中でも一番好きなのは表題作かな。メビウスの輪のように捻れながらも、それぞれの現実世界が連鎖しているのが面白い。特に犯罪を犯す少年の内面、思春期特有の自意識過剰さがリアルに迫ってきます。面白かったです。

2016/11/02

新地学@児童書病発動中

非常に面白くて、自分の好みだと感じた。暗くて重たい話が多いのだが、それは現実の世界を反映していると思う。この作者の物語は妙に現実感がなくて、夢のようなところがある。具体的な場所を書かないせいかもしれない。それでも、その書き方にリアリティーを感じるのは、今の社会に生きている人間が場所や他の人から切り離されて、漂うような状態になっているからだろう。「ゴミ屋敷」が一番のお気に入り。中村さんの小説にしてはユーモアがあって笑える。といっても強烈な黒い笑いなので、好みは分かれるだろう。

2017/08/11

chimako

こんな閉塞した今、読むべきではなかった。どれもこれも気持ちが悪く救われない気持ちになった。登場する者たちは生きているのかすでに死んでいるのか、生きたいのか死にたいのかさえ分からず、狭い自分の世界のなかであっぷあっぷしながらその息苦しさを求める。鉄屑を積み上げ、混沌の中を迷い、人を付け回し、どうしようもなく不毛なのだ。疲れている。その上にもっと疲れが降りてきた。しばらく中村文則はやめておこう。

2020/08/17

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