円卓 (文春文庫 に 22-1)
円卓 (文春文庫 に 22-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
西加奈子さんは初読。この軽快なタッチは想像通り。大阪弁の語りも著者の経歴を見れば納得。小学校3年生の琴子の視点に立てるのはプロフェッショナルの証し。モノの見方が固定化してしまった我々大人にはできない発想から物事を見るというアイディアと、それを可能にしてしまう力量には感心する。もっとも、いずれの登場人物も個性が際立ち過ぎて、逆にそのことがステレオタイプを招いているという欠点は免れないが。全篇を通じて、さほどの事件が起こらないプロット設定もうまい。こっこの語りのリズムだけで最後まで押し切ってしまうのだから。
2016/01/31
yu
西加奈子すげ~~~~っていう衝撃!人に薦めたくなるような面白さとかではなく、この世界観にただただ感服。小学三年生の瞳に映る世界、耳に入る言葉、感じる空気、そして疑問。こっこは決して偏屈なんかじゃなく、純粋で自分の感性にただただ従順なだけ。ぽっさんと石太との公園での会話、鼠人間が逮捕された時のぽっさんとのシーンが死ぬほどよかった。『~言葉を発する瞬間に、わずかな重力を感じるようになった。』『生まれたら、死ぬために、生きていく。』 「大人になる」って難しくて不思議で大切でキラキラした時間だね。
2013/10/25
ehirano1
これは面白い!しかも深いです。こっこがジャポニカにメモった風に、そして幹成美がバラ撒いた紙風に感想を書くと、「憧れ」「日常」「うるさいぼけ!」「カワイイ」「ユーモア」「爆笑」「各々の憂鬱」「成長」「家族」、「他人」「アイデンティティー」「大人とは」「感受性」がうまくうまく組み立てられた光溢れる作品でした。再読必至の名作だと思います。
2017/05/12
ミカママ
狭い公団住宅の一室に潰れた中華料理店の大きな円卓があるこっこのおうち。家族に愛され、友人にも恵まれ、悩むこともあるし時には変質者に遭いながらも、こっこは成長していく。こっこの親友ぽっさんが泣かせる。「ひ、ひとりにして、す、すまんかった」。世界中のみんなにぽっさんがいればいいのに。解説は津村記久子さん。なんと贅沢な。
2022/12/11
ミカママ
頭のてっぺんから尻尾の先まで、ぎっしり餡(西加奈子エキス)の詰まった鯛焼きみたいな作品!子どもたちの純真さ、腹黒さ、一生懸命さがめっちゃ伝わってくる!この「めっちゃ」という砕けた日本語も、西さんが主人公に語らせると、音楽のように聴こえてくる不思議。「…それ、めっちゃええやん。」「めっちゃええやん!」「せやろ!」関西弁を第二外国語に選択していてよかった、と心から思えた作品でした。とはいえ、関西弁を話さないあなたも、ぜひご一読を。
2015/12/30
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