世界堂書店 (文春文庫 よ 29-2)
世界堂書店 (文春文庫 よ 29-2) / 感想・レビュー
ちょろんこ*勉強のため休止中
米澤さんが世界中からセレクトした短編集。ジャンルや年代もバラバラで統一感はない。共通点は米沢さんの好みが色濃く反映されている、という点のみ。一筋縄でいかないようなとんがったセレクトで、訳もやや読みにくい。米澤さんと感性、というか感覚が似ている人はかなり楽しめるかも。薄暗く奇妙な後味の短編が多い。どの話も独特の雰囲気があったが、骨格がしっかり、起承転結がはっきりしていて”短い長編小説”という感じ。個人的には「東洋趣味」が気に入った。ゴージャスでエキゾチック、なのに腐る寸前の果物のような空気感が好みだった。
2014/10/18
kishikan
タイトルに惹かれて購入したのだけれど、米澤さんの作品じゃなかったので最初はがっかり。とはいえ、米澤さんお気に入りの世界の短編小説というので読んでみる。最初は「源氏の君の最後の恋」、おおっ!なんでことだ。ベルギー生まれのフランスの小説家が、源氏物語のスピンオフを、それもなんて創造的で素敵な物語なんだろう。その他、張系国「シャングリラ」などなど、傑作だらけじゃないか。面白い、実に面白い。外国語の特性、訳者のタイプもあり、好き嫌いがでる作品集かもしれないが、この本がなかったら出会えなかったな。米澤さんに感謝。
2016/03/09
KAZOO
米澤さんの作品は今まで2作品しか読んだことがないのですが、私にとってはマニアックな感じがしていました。この短篇のアンソロジーについてもかなりご本人の趣味があらわれているのでしょう。私が読んだものはほとんどなくすべて目新しいものばかりでした。このような選択の感じからするとかなりの本を読みこんでいると思われます。久しぶりに何か新鮮なものを読んだ気になりました。
2015/04/17
ハミング♪♪@LIVE ON LIVE
米澤さんが選んだおもしろい短編集。特に印象的なのは、①「昔の借りを返す話」②「十五人の殺人者たち」③「石の葬式」。①は、青春時代の少女の激情がとてもリアルに描かれていて、自分の想い出とリンクした。②は、ミステリー&サスペンスタッチで、タイトルを覆すような内容で満足。③は、一見不可解に思える事件の真相が明らかになっていくストーリーがいい。「破滅の種子」「私はあなたと暮らしているけれど、あなたはそれを知らない」「いっぷう変わった人々」「トーランド家の長老」も奇妙というかミステリアスな感じでよかった。
2014/10/17
藤月はな(灯れ松明の火)
『破滅の種子』、『東洋趣味』、『バイオリンの声の少女』、『連鎖』、『墓を愛した少年』、『トーランド家の長老』は既読。早川書房の異色作家短篇集シリーズを連想させる短篇集。流石はエリンの『特別料理』を基に『儚い羊たちの夢』を描いた米澤穂信氏のチョイスの絶妙さよ。『私はあなたと暮らしているけど、あなたはそれを知らない』の現実に存在するか、作り上げた人格か分からない人物によって一人の女性の人生が変わっていく様子は擦り硝子を引っ掻くような音を聞くような居心地の悪さを覚え、『源氏の君の最期の恋』でおのれ、源氏!と激怒
2014/05/20
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