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地下の鳩 (文春文庫 に 22-2)

地下の鳩 (文春文庫 に 22-2)

地下の鳩 (文春文庫 に 22-2)

作家
西加奈子
出版社
文藝春秋
発売日
2014-06-10
ISBN
9784167901158
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地下の鳩 (文春文庫 に 22-2) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

大阪ミナミの2級の歓楽街が舞台。西加奈子さんの小説はまだ3作目だが、実に器用な作家だと思う。こんな作品も書けるのだから。主人公の吉田にもヒロインのみさをにも過去はないことはないが、彼らはそれを振り捨ててきた。未来はもちろん、ない。彼らにあるのは現在だけなのだ。そして、周縁にいるミミィたちもまた同様だろう。小説世界が刹那的なのはひとえにその故なのだ。表題の「地下の鳩」は、地下鉄御堂筋線の構内にいる鳩なのだが、それは彼らが一様に抱える都会の中での孤独を象徴するかのようだ。なんとも淋しくやるせない小説である。

2017/01/15

ミカママ

タイトルを連想させる、強烈な冒頭シーン。『肉子ちゃん』を西さんの陽とすれば、こちらは陰の代表作か。大阪の夜の街を舞台に、不器用に、まっすぐに生きる三者三様の人生。大阪の街並みや、大阪言葉を知っている人にはより理解しやすいかも。大阪で食いだおれたり、奄美の絵の具を絞り出したような空の色を見に行ってみたいな。

2017/02/06

おしゃべりメガネ

正直、今のところ、まだあまり得意?にできていない西加奈子さんの作風ですが、本作も自分にはフィットしていなかったようですね〜。文章も読みづらいワケではなく、人物描写もなかなかインパクトがあるのですが、どうしてかこう入り込めず、世界観にひたれないんですよね。スッと読めたのは『円卓』ぐらいで、あとは苦戦作品が続いています。でも、きっと他の作品でも好きになれる作品があると思うので、まだ諦めず読み続けていきたいと思います。本作は表と裏から構成される作風で、夜の世界で生きる'オトコ'達を独特な雰囲気で描いていました。

2017/05/11

酔拳

表題作にはなかなか、感情移入できず、読み進めなかった・・・・だけど、「タイムカプセル」の話は感情移入でき、グングン、読めました。 オカマバーをやっているミミィを中心にオカマバーのスタッフの話など、おもしろく、読めました。 話のテーマが、いじめの問題につながっていたことが、考えさせられました。 「いじめられた人は一生、苦しまなければいけない」というところは、特に考えさせられました。

2016/10/19

ゴンゾウ@新潮部

ミナミの夜の街で生きる男女とオカマを描いた2作品。「地下の鳩」は中年に差し掛かるキャバレーの呼び込み吉田と男に流されて来たチーママみさをの物語。未来も展望も無くただ生きているだけのふたりが恋愛でなく淋しさを埋める為に一緒にいる。刹那的に生きるふたりが痛々しくてやり切れない。「タイムカプセル」は自分の性癖の為に苛めを受けて来たオカマのミミィの物語。辛い人生を送ってきたからこそ人の痛みが分かってしまうミミィ。彼女の不器用な生き方と優しさが儚く痛々しい。両作ともスッキリしないけど人間臭く不思議な暖かさがある。

2015/04/08

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