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水底フェスタ (文春文庫 つ 18-2)

水底フェスタ (文春文庫 つ 18-2)

水底フェスタ (文春文庫 つ 18-2)

作家
辻村深月
出版社
文藝春秋
発売日
2014-08-06
ISBN
9784167901578
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水底フェスタ (文春文庫 つ 18-2) / 感想・レビュー

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さてさて

リゾート開発に失敗し、廃れゆく一方だった睦ッ代村。起死回生の一手として、ロックフェスティバルを誘致し、『ムツシロ・ロックフェスティバル』と村の名前を冠することにも成功した山村、睦ッ代村。この作品はそんな村の村長の息子である広海を主人公に描かれます。どんよりと曇った息苦しい空気が最後まで入れ替わることなく、400頁という読書の先に待っているのは、内に内にと篭る沈鬱な不快感。あまりにも暗い、救われない、そして光の見えない閉塞感。最初から最後まで沈鬱で、ただひたすらに重苦しく救いのなさが印象に残った作品でした。

2021/11/14

yoshida

フジロックを連想するロックフェス「ムツシロロック」が開催される睦ッ代村。村長の息子で高校生の広海は、フェスで村出身のモデル織場由貴美を見る。広海に近付く由貴美。由貴美への警告を聞きながらも、広海は由貴美の魅力に抗えない。由貴美が村へ戻った理由は村への復讐。広海は由貴美の話す村の癒着を裏付ける資料を見つける。湖畔の出来事で一気に物語が展開する。辻村深月さんの感情描写は実に巧みだ。嫉妬、羨望、憧憬、憎悪。広海と由貴美の関係も、由貴美の母の虚栄心が産んだものと知り安心しました。村社会の恐ろしさ。満足の一気読み。

2017/09/09

にいにい

初辻村深月さん。ロックフェスの開放感と対比して、暗く深い閉塞感。山村の村社会で共同体が生き残るための暗黙のルール。そのルールとヒエラルキーを保持する人々の冷淡さと表情にでない不気味さが辻村さんの筆の力か? 最後まで救いが見られない展開は、いい読後感ではない。しかし、どこの共同体でも、多かれ少なかれ存在する暗部を見つめた辻村さんの試みは興味深い。共同体の一員としてどう過ごすべきか考えさせられる一冊。

2014/10/13

SJW

村長の息子 広海は、村で開催されたロックフェスで、村出身のピークを過ぎたモデル上がりの女優 由貴美と会う。前半は恋愛ドラマ、後半は地域社会の裏の問題に焦点が当てられる展開。全編で予想しにくい展開が多く、つい引き込まれてしまう。広海は冷静さを保っているが、徐々に恋愛に引きずられてしまうのは若さゆえ抵抗するのは無理かな。閉鎖的な村社会の闇に翻弄される二人の運命が切なすぎる。

2020/04/18

nobby

その魔性にドキッとした…村長の息子が年上の芸能人女性に一気にのめり込む様を危惧しながら、徐々に明かされる閉鎖的な村社会の因縁。それが導く悲劇の末に囁かれた「大好き」、その純で柔らかい言葉が切なくてたまらない…エリート高校生が破滅に向かうのか心配して夢中で読んだが、後半ムラ総ぐるみで秘密や陰謀などにひた走る模様に気分はどんよりするばかり…その中で育ち生きる限りは、年齢とともに意識も変わり抜けられないのだろうか…音楽フェスという熱く活気ある場面から始まり、浮かび上がること無く描かれ結ばれる水底はひたすら暗い。

2018/04/04

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