KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

新装版 遠い接近 (文春文庫) (文春文庫 ま 1-135)

新装版 遠い接近 (文春文庫) (文春文庫 ま 1-135)

新装版 遠い接近 (文春文庫) (文春文庫 ま 1-135)

作家
松本清張
出版社
文藝春秋
発売日
2014-09-02
ISBN
9784167901882
amazonで購入する Kindle版を購入する

新装版 遠い接近 (文春文庫) (文春文庫 ま 1-135) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

雪風のねこ@(=´ω`=)

著者の実体験が盛り込まれた重い展開は好き嫌いが分かれそう。ただその時代で描かれた表現ってのは学んでみる価値はある。主人公は面白い手段で計画を立てるのだけど、図に乗ってしまったかなぁという印象。よっぽど根に持っていたに違いない。いやよく辛抱したと思うんだけどね。作中に描かれている、なんとなく軽く済むだろう、戦地に行かなくても済むだろう…といった淡い期待をスッとかき消してしまうような、あたかも二度と替わることのない硬いレールに載せられているかのような絶望感は、背筋が凍りますなぁ。

2021/12/29

シュラフ

この作品では松本清張自身の軍隊経験・・・軍隊での古兵による気分次第の私刑、敗戦後の軍人による軍事物資の隠匿、など日本人の醜いさまが生々しく描かれている。赤紙1枚で軍隊にひっぱられ、辛い軍隊生活の中で常に頭にあるのは家族の安否・・・。戦争経験者たちの多くは辛い当時のことをあまり話たがらない、「戦争はもういやだ・・・」とつぶやくだけである。当時いったい何がおこっていたのか、日本人たちはどう生きていたのか、経験者でなければ語ることはできない。『永遠の0』に感動してしまうのは危険、やはり平和な世の中がいいのだ。

2015/05/10

たぬ

☆4.5 ぐぅぅ。ムカつく。なんて腹の立つ奴なんだ安川。バレバレの詐病でサボるだけでなく超絶上から目線で罵詈雑言に理不尽な暴行に。でもこういうのに限って世渡り上手なんだよねえ。闇市の大物になってた安川に比べて自分以外の家族全員死んでしまった山尾が哀れでならないよ。実家が神田で疎開先が広島って時点ででかいフラグ立ってたけども…。数年後見事復讐を遂げるもやはり警察の眼は鋭かったね。

2023/10/02

gtn

主人公に感情移入する。日本人とは不思議な民族である。主人公と同じ目に遭った人間が戦中、戦後山ほどいたはずなのに、同種の事件をあまり聞かないのはなぜか。心が広いのか、忘却するのか、諦観するのか。

2022/08/06

黒猫

色版画工として、6人家族を養う山尾に突如送られた赤紙。これ1枚で家族の運命を狂わし、己の人生を狂わされた山尾は、赤紙を送った人間を探していく。軍の気合いの名の下に、次々と繰り出される上官からの暴力。この辺りの描写は、著者の軍の入隊の経験に基づき書かれているため、リアリティー溢れるものだ。家族は生きる糧を失い疎開先は広島。戦後全てを失った山尾。完璧と思われた犯罪が一挙に崩れさる時、山尾は家族のもとに旅立ったのであろうか。どんな気持ちがそこにあったのか。赤紙の理不尽さを強く思わされずにいられない。名作。

2016/11/23

感想・レビューをもっと見る