もういちど村上春樹にご用心 (文春文庫 う 19-17)
もういちど村上春樹にご用心 (文春文庫 う 19-17) / 感想・レビュー
抹茶モナカ
「ファンの視点から」という立ち位置での評論となっているけれど、そこは学者だから、読み込み方が深く、村上春樹さんの作品の読み方の一つとして、大きな示唆を与えてくれる。平明な文章なのも良い。村上春樹さんのファンのつもりでいたけれど、内田先生の熱い思いと取り組み方から考えると、僕なんてうんこみたいなものだ、と思った。ただ、「司馬遼太郎の後継者」というのは、どうもピンと来なかった。
2014/12/12
ころこ
タイトルから推測するに、村上を否定的に論じる本だと思っていましたが、同世代が評価している本で拍子抜けしました。走ることと書くことを等価にみたり、長い小説の長さに着目したり、翻訳作業を重要視していたりと、村上のエクリチュール(身体)と社会との違和感を論じており、恐らく著者も感じていると言いたげです。そこまでの批評性はありませんが、村上春樹を読む手掛かりにはなるかも知れません。これで著者の本は何冊か読みましたが、専門的な分野にどの様な意味があるのかを上手く表現するのが著者の持ち味だというのが分かってきました。
2021/06/18
佐島楓
村上春樹というひとの作品は言語化しづらい部分で読者と共鳴している、と前々から感じていた。一部、この本で謎が解けたような気がする(あくまでも、ような、ではあるものの)。
2015/01/11
けぴ
内田樹さんによる、熱い村上春樹論。P57 エルサレム賞の受賞スピーチ「高く堅牢な壁とそれにぶつかって砕ける卵の間で、私はどんな場合でも卵の側につきます。壁がどれほど正しくても、卵がどれほど間違っていても、私は卵の味方です」ちょうど、今話題の辺野古基地問題がぴったり当てはまりそうです。政府=壁、沖縄県民=卵。P172 村上春樹がほかの作家と違うところ。翻訳をやっていること。走ること。変な本を書くこと。この三つは、創作を活性化するために絶対に必要な活動なんだと思います。まさに!変な本、大好きです!
2019/02/28
おじいやん featuring おじいちゃん( ̄+ー ̄)
愛は盲目といいますが読中、読後にぬぐい難い違和感を無視することができませんでした。それは本の外から放たれた言葉に起因するものでしょう。なぜその本のあるがままを愛せないのでしょうか。本の外側から意味を加えられた本はもはや著者の本ではありません。人間が人として人である所以すなわち歪んだ業を本書に垣間見たとです。
2018/05/08
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