路 (文春文庫 よ 19-6)
路 (文春文庫 よ 19-6) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
芥川賞作家が書いたエンターテインメント。台北と高尾を90分で結ぶ臺灣高速鐵路の建設に纏わるモデル小説。日本の商社に勤務し、受注から完成まで関わるのが主人公の春香。彼女の台湾での運命の人、人豪との恋(?)や台湾からの引揚者、勝一郎などの人たちが描かれる。私も台湾には好感も関心も持っているので、気持ちはわからなくはないのだが。しかし、プロットの展開も人物の造形も何もかもが甘すぎる。主題もまた拡散気味だ。つまり、小説としては成功しているとは言い難い。しいて長所をあげれば、台湾に行って、これに乗りたくなることか。
2017/10/08
ウッディ
台湾に日本の新幹線を走らせる、そんな大事業に関わった人、そのニュースに心熱くした人、懐かしい過去を振り返る人、多くの人々の想いと台湾と日本とのつながりを感じさせてくれる物語。プロジェクトX的な熱いお仕事小説かと思っていたら、瑞々しい人間ドラマでした。特に、春香と人豪のすれ違いと一途な想い、勝一郎と中野との友情に心打たれました。物語の登場人物が開通した新幹線に乗り合わせるラストシーンも温かく、素敵な話でした。美味しい食べ物に溢れ、どこか懐かしい国台湾に、一度行ってみたい思いを強くした一冊。面白かったです。
2019/06/07
nanako
読み終えて、台湾、ほんと行ってみたくなりました。春香と人豪の二人が、どうか幸せになりますように・・・。
2017/09/23
mura_ユル活動
近くて(隣国)遠い(意識的)国、台湾。WBC(ワールドベースボールクラシック)に代表されるように、東日本の時も日本のことをあんなにも応援してくれた国。台湾のこと、日本がかつて失って行った、人や街の心温かいムード・匂いが漂う。台湾の日本の新幹線、台湾高速鉄道'高鉄'の競争入札から工事、開通まで。物語の比重は、台湾人と日本人の個々の恋・友情が中心。人豪と春香、勝一郎と中野赳夫。時を経た2組のお互いの会話に涙する。作家の吉田さん、なんでこんなにも建築設計の業務に精通しているのが不思議。
2016/11/06
どんふぁん
2019年5月20日読了。いい話でした。台湾高速鉄道が軸になってて色んな人間模様が見えて、節々に印象的な言葉がたくさんでてきて、満足の一冊でした。ただ、人間模様がちょっと余韻残しすぎで消化不良。もうちょっと完結しといて欲しかったなぁと思いました。でもこの本の醍醐味って、作者の吉田修一さんが台湾好きなんですー!ってのが全面に表れていて、台湾の風景やご飯や人など会ったこともないけど、ぜひ会ってみたいと思わせる書き方が見事でした。
2019/05/20
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