鍵のない夢を見る (文春文庫 つ 18-3)
鍵のない夢を見る (文春文庫 つ 18-3) / 感想・レビュー
馨
全作品女性が主人公の短編集。どの話も主人公の女性は一見まとも。真面目で共感できるような、どこかにいそうな一般的な女性。でも読み進めていくうちにどこかずれているのではないか?ちょっと違うのではないか?と不思議な感覚になっていきました。どの話も結構重くて、『この話が好き!共感できる』みたいな作品は出てこなかったにも関わらず、どんよりとしているけれど書き方が巧いのでしょう、結末が気になって読む手が止まりませんでした。林真理子さんとの対談も良かったです。
2017/12/04
ミカママ
辻村さんのはそれなりに数は読んでいたつもりだったが、出世作のこちらがまだだった。全編に通じるテーマは、地方の閉塞感が生んでしまった犯罪がらみの短編集。どの女性主人公も追い詰められておりひたすらもの哀しい。『君本家の誘拐』、これは頼る者のいない中でワンオペ育児したことある女性には身のつまされる作品。「あんなに欲しかった赤ちゃんなのに、どうして…」を感じなかったヒトはいないだろう。短編集だったのが意外だったが、辻村さんビギナーにも読みやすい仕上がりだと思う。
2023/03/25
さてさて
軽いものから重いものまで罪を犯そうとする人達のそこに至るまでの過程を切り取った五つの短編が収録されたこの作品。こうやって人は堕ちていく…と感じる〈芹葉大学の夢と殺人〉、のんびりとした地方都市の中で本当の恐怖はどこにあるのだろうと感じる〈石蕗南地区の放火〉、そして、犯罪でもなんでもなく、子育てに悩むお母さん達の日常の一コマを目の錯覚的に描く〈君本家の誘拐〉等、その内容は多彩です。ふり幅の広い女目線の数々、プライドの高さとその陰に蠢くドロドロ、ねっとりとした執念と怨念の世界。人の怖さをそこに感じた作品でした。
2022/04/17
nanako
女性の心の内面に触れた作品。この作中の女性たちの心境、わかるようなわからないような・・・同情?共感?難しいです。
2017/08/27
せ~や
短編集。どの短編もそれぞれに味がある。僕は男性なので、女性の世界をほんの少し、覗いてみた感じで面白かったし、出てくる男性に対しても、わかるな~って思ったり。女性側から見たら、こんな風に思われてるのかなと考えてしまう(笑)あとがきの、辻村さんと林さんの対談も、本作のもっと理解させてくれる感じ。どこにでもいそうな人たちが丁寧に描かれていて、共感出来る事がたくさんで、小説なのに近くにある感じの日常。女性が楽しめる事はもちろん、男性の方も楽しめる一冊でした。☆4
2018/10/01
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