傾国子女 (文春文庫 し 28-3)
傾国子女 (文春文庫 し 28-3) / 感想・レビュー
ちょこまーぶる
悲しくなったり、スッキリしたりと色々な感情が表出した一冊でした。話は、一人の女性の生きざまを追っていくといった内容なんですが、その人生では普通には体験ができないような体験が次々に襲い掛かり、彼女の人生に寄り添って読んでいると深い悲しみに襲われてしまうんですが、その過程が自分自身の生きるパワーにもなるんじゃないかなと思う場面もありましたね。でも、男の私が言うのも何なんですが、男って本当に損得勘定と性の目的だけの生き物なんだなと思わせてくれる場面も多く、情けなくなりました。でも、やっぱり悲しすぎますね。
2017/06/27
佐島楓
展開が速くて、惹きつけられるのだけれども、何か腹が立ってくるのは、私が女だからだろう。そもそも性行為が快楽をもたらさなければ、女性が商品となることもないのだが、現在の人類の繁栄もないという華麗なる矛盾がある。現代における日本人の草食化が、人類滅亡の予言の最先端のようにさえ思えてくるのであるが、めちゃめちゃ肉食系のこの作品、若い読者にはどう受け止められるのだろうか。
2018/05/23
優希
難しさと読みやすさの混同した物語という印象です。少女編愛車の養父から逃げ、初恋の男と逃避行を計画した千春の様子を描いていました。普通の体験というものができない中で幸せを求める千春。どこに行き着くかハラハラしながら読みました。現代版『好色一代女』とはよく言ったものです。
2021/01/21
ちぇけら
使い捨てライターがボッと音をたてて闇を枯らす。どうせ挿れるのだから前戲なんていらない、どうせ外すのだからゴムなんていらない。わたしには価値がある、そう思うだけで感じる身体は、ひざまずいて硬いものを受け入れると真っ白になって。果てる。そこなわれた若さは、気化した薔薇の香りがする。渡りあるいた男たちが虚空に浮かぶと、やっぱり夜は闇だと思う。いつのまにかわたしの目は濡れ、わたしはあなたが好きだったんだ。男を奪ううちに奪われたものたちを供養するため、深い森で朽木を燃やし、泣けばみじめになるだけという呪文を埋める。
2020/03/12
茉莉花
美しいが故に苦労することもあるかとは思いますが、境遇が悪かったとしか言いようがないような内容でした。「傾国」とタイトルにあったので、男を破滅させ国を揺るがすくらいの傾国美女っぷりを発揮して欲しかったのに、逆に自分が滅びちゃおしめーよって位、目を塞ぎたくなるような悲惨で壮絶な出来事が度重なるので読んでるこっちの気が重くなりました。だけど、この本で感じたのは、いくら絶世の美女であったとしても中身が無知で愚鈍な女だったら勝負に勝てないのだということ。本当の意味での傾国美女は頭も賢い人なんだと思いました。
2015/10/07
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